Jingo「Fever」のキモ気持ち良いリズムの仕組みを、鳥居真道が徹底解剖

「Fever」の平歌部分のベースとオルガンのリズムはこの標準リズム型が土台になっているように感じられます。アメリカ産のファンクのように4/4という安定感のあるビート上で強拍と弱拍が入れ替わるシンコペーションを駆使して強烈なグルーヴを作っているというよりは、標準リズム型を骨子とし、各演奏者がそれに肉付けしていく要領で演奏してリズムに躍動感を生んでいるという印象を持ちました。さらに、標準リズム型の5つの打点の前半3つのパートと後半の2つのパートが漫才よろしくボケとツッコミのような応酬を続けてリズムの押し進めているようにも聴こえます。小節の前半と後半でコール・アンド・レスポンスをしているような感覚です。これはそんな気がするというレベルの話に過ぎませんが…。

構造がわからないけれど踊れてしまうという「キモ気持ち良い」とでも言うべき「Fever」リズムの仕組みについて自分なりに解釈を与えた後であっても、「Fever」は以前のようにフレッシュな響きをもったままです。仕組みがわかってしまうと魔法が解けてしまうなんてことを言われたりもしますが、「Fever」に限っては全くもってそんなことはありませんでした。「Fever」の輝き、恐るべし。

前回に続いて今回もまたプレイリストを作成しました。アフリカもののコンピからリズムが6/8の曲をまとめたものとなります。あ! ハチロクだ! と一人で盛り上がりつつ闇雲に集めたら全63曲、トータルタイムが5時間33分のプレイリストが出来上がりました。これをそのままどうぞと言ってご披露するのも気が引けるので、比較的賑やかでダンサブルなものを抜粋して90分程度にまとめてみました。わかりやすくポリリズムになっている曲もあるし、標準リズム型やその発展型が聴こえてくる曲もあります。見つけたら是非ニヤリとしてください。





鳥居真道



1987年生まれ。「トリプルファイヤー」のギタリストで、バンドの多くの楽曲で作曲を手がける。バンドでの活動に加え、他アーティストのレコーディングやライブへの参加および楽曲提供、リミックス、選曲/DJ、音楽メディアへの寄稿、トークイベントへの出演も。Twitter : @mushitoka / @TRIPLE_FIRE

◾️バックナンバー

Vol.1「クルアンビンは米が美味しい定食屋!? トリプルファイヤー鳥居真道が語り尽くすリズムの妙」
Vol.2「高速道路のジャンクションのような構造、鳥居真道がファンクの金字塔を解き明かす」
Vol.3「細野晴臣「CHOO-CHOOガタゴト」はおっちゃんのリズム前哨戦? 鳥居真道が徹底分析」
Vol.4「ファンクはプレーヤー間のスリリングなやり取り? ヴルフペックを鳥居真道が解き明かす」

<ライブ情報>

トリプルファイヤー
「アルティメットパーティー7-1」
2019年11月22日(金)渋谷 TSUTAYA O-nest
出演:トリプルファイヤー(ワンマン)
時間:開場18:30/開演19:30

「アルティメットパーティー7-2」
2019年11月29日(金)渋谷 TSUTAYA O-nest
出演:トリプルファイヤー(ワンマン)
時間:開場18:30/開演19:30

前売(1日券)3500円(ドリンク代別)
チケット:7月21日(日)10:00より発売
ぴあ(Pコード:159-985)
ローチケ(Lコード:73830)
e+:https://eplus.jp/triplefire/
O-nest店頭

トリプルファイヤー公式tumblr
http://triplefirefirefire.tumblr.com


Rolling Stone Japan 編集部

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