米政府機関の情報発信に革命起こした「グレート・ベイビー」

米国消費者製品安全委員会の投稿が、政府機関のミーム画像としては初めて公式蔵書に選ばれた。(Consumer Protection Safety Commission/Joe Galbo)

2016年9月、ジョセフ・ガルボ氏はフォースフィールドの中に赤ん坊を据えた。乳児安全月間の2日目のことだった。ガルボ氏は米国消費者製品安全委員会(CPSC)のソーシャルメディア担当で、上司から許可をもらい、新生児を守る最善策をアメリカの大衆に伝える新たな伝達方法を試してみることにした。

彼が投稿した画像は、Photoshopでやっつけ仕事をしたようなお粗末な出来栄えで――青い球体の中央にで、光に包まれた赤ん坊がにっこり笑っている――画面下のCPSCのロゴが、安っぽい公共広告の雰囲気をさらに醸し出していた。画像の上に重ねた文章はこう。「赤ちゃんの周りに、3フィート(約90cm)のフォースフィールドがあると想像してみてください。それが、電気コードを置いてはならない範囲です」

このツイートが獲得したいいねやリツイートはごく少数だったものの、ガルボ氏はCPSCのソーシャルメディアアカウントをさらに深くミームの世界へ進めることを許された。3年後、同委員会は6万4000人のフォロワーを誇り、新生児保護や火災報知器の電池交換、オフロード車の安全運転を呼びかけるほほえましいおバカ投稿は定期的にインターネット上で拡散されている。そして今これらの投稿が、この先投稿されるものも含めて、アメリカ議会図書館のデジタル蔵書に正式に収蔵されることになった。



「僕はもともとミュージアム畑出身なのですが、博物館の収蔵品を見に行くと誰もがいつもと違うところに意識を向けるようになると思います。もっと知りたいとか、もっと深く掘り下げたいとか」と、ガルボ氏はローリングストーン誌に語った。CPSCのミーム画像は、政府機関の作品としては初めて議会図書館のデジタル蔵書に加わった作品だと言われている。「この委員会は、時代に即した方法で世間にアピールしようと、新しいことにチャレンジしているんです」と言うのは議会図書館の司書、マレア・ウォーカー氏。今回のアーカイブ入りを率先して進めた人物だ。「今まで、パンフレットやこうしたものは収蔵していませんでした。でもこれに関しては、政府機関の情報発信が変わりつつある例として、ぜひとも収蔵したいと思ったんです」

Translated by Akiko Kato

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