Spotifyスタッフはどんなことを考えている? a flood of circle佐々木が対話してきた

佐々木:ユーザーにはまだ知られてない機能ってありますか?

芦澤:機能ではないですが、「バイラルチャート」ってご存知ですか?

佐々木:それは急上昇チャートみたいなものですか?

芦澤:いえ、バイラルチャートはSpotiftyからソーシャルメディアでシェアされ、再生された数をベースにしたランキングで、「いまソーシャルメディアでバズっている曲」が分かる指標と言えます。すべてシステムで算出されているので、どうやったら1位になるのかという正確なギミックは実は誰もわかっていません。

佐々木:コントローラブルなものじゃないんですね。

芦澤:バイラルチャートをチェックしていると、これから来るものをいち早くキャッチできるかもしれません。Spotifyのプレイリストを作成しているエディター達もバイラルチャートを注目してみています。バイラルチャートをきっかけにエディターの目に留まり、プレイリストにピックアップされて人気が広がっていくこともあります。世の中の動きを反映することも多く、去年秋にクイーンの映画が公開された際は、チャートの上位がクイーンの楽曲で占拠されていたこともありました。

佐々木:ああ、ミスチルのカタログ配信開始の時とかもそうでしたね。

芦澤:これまでなかったものが加わり、急激にシェアされるとバイラルには入りやすいようですね。バイラル以外では、再生回数ランキングをプレイリストにした「トップ50」も日々更新されていますが、こちらはあまり変動がないのがストリーミングの特徴です。

佐々木:確かに、ずっとあいみょんや髭男ですよね。

芦澤:逆に言うと、一度ストリーミングでヒットすると長い間ずっと聴かれるということですね。DAOKOの「打上花火」も2年ぐらい上位にいましたし、エド・シーランの「シェイプ・オブ・ユー」もそうでしたね。CDはパッケージ購入のランキングなため、発売初週にドンとチャートを上昇し、翌週以降大きく下がっていくと思うんですけど、ストリーミングチャートは実際に聴かれている回数がベースになるチャートなので、一度ヒットした曲は長期間聴かれ、チャートの上位にとどまる傾向があります。

佐々木:前とはチャートの考え方が変わってますよね。

芦澤:たとえばあいみょんが話題になり、ある曲が人気を呼ぶと、あいみょんに興味を持ったリスナーがアーティストページで他の曲も調べて聴いたため、複数曲が一気にチャートにランクインしました。そそれが今は髭男で起きています。そうしたロングテールな聴かれ方がストリーミングの特徴ですね。瞬間瞬間で見るとCDの利益率に比べて儲からないと言われていますが、中長期的に見ていくべきビジネスモデルかなと思います。

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