中国が『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』の公開を取り止め

中国はクエンティン・タランティーノの『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』を公開しないと判断した(Photo by ©Columbia Pictures/courtesy Everett Co / Everett Collection)

中国が、公開予定日を一週間後に控えていたクエンティン・タランティーノ監督の最新映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』を劇場で公開しないという判断を下した

監督が60年代後期のハリウッドに思いを馳せる今作は、タランティーノの作品で初めて再編集されずに中国で公開される作品になるはずだった。タランティーノの映画は残酷なシーンが多く、いつも国の厳しい基準に規制されてしまっていた。加えて、タランティーノはこの規制に合わせた再編集版の製作を断固拒否したとVariety誌が報じた。
 
中国側から公開中止の理由への説明が未だない中、ある情報源から話を聞いたHollywood Reporter誌によるとブルース・リーの娘、シャノン・リーが、亡くなった父が「傲慢」で「無礼」に描かれていると「国家電影局に抗議の文書を送り、待ったをかけた」とのことだ。
 
しかし、タランティーノはリーの苦情を聞き入れず、自分が描く『ドラゴン怒りの鉄拳』のスターを記者会見で擁護した。「ブルース・リーは傲慢なやつだったよ。しゃべり方とか、俺が勝手にねつ造したわけじゃない」
 
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』に登場するマイク・モー演じるリーは「高慢ちき」で「モハメド・アリなんて余裕で負かせた」と豪語している。その後、ピット演じるスタントマンで元軍人のクリフ・ブースと「仲良く」ケンカする。わかりやすい決着はつかなかったが、どうやらリーを車の側面に投げ飛ばしたピットの方が一歩リードしていたようだ。
 
タランティーノの映画で初めて中国で公開される予定だった今作は全世界での興行収入が4億ドルを超えるはずだった。今回の予定変更でSony Picturesと『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』の中国の出資者である、北京に本社を置くBona Film Groupは打撃を受けた。
 
タランティーノは以前にも2012年公開の映画『ジャンゴ 繋がれざる者』で中国と揉め、暴力や性的な描写のあるシーンをカットして再び公開したが、興行収入270万ドルの失敗に終わった。

Translated by Mika Uchibori

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