ホット・チップのアレクシス、全アルバムとキャリア20年を本音で語る

2.『The Warning』(2006年)



─ホット・チップの出世作ですよね。僕もこのアルバムで存在を知りました。

アレクシス:今でもこのアルバムを誇りに思っているよ。シングルの「Boy from School」「Over and Over」「(Just Like We)Breakdown」「Look After Me」は、ホット・チップの全楽曲のなかでもストロングなものだと思う。シングル曲以外のトラックも同様だ。僕らは1stアルバムよりも少し力強くなり、素晴らしい進化を遂げることが出来た。

収録曲のいくつかは今も親しまれていて、ライブでやれば観客の反応に驚かされるし、DJたちも時々クラブでプレイしている。(ジャケットの)デザインも力強くモダンで、今でもこのデザインのタトゥーをしている人を時折目にする。そういうのもあり、このアルバムはいつだってハッピーな感情をもたらしてくれるんだ。過去作の全てがそうとは限らないなかでね。





─このアルバムを出した前後の時期、ホット・チップは「ニューレイヴ」の文脈で語られたりもしましたが、あのシーンに括られることについてはどんなふうに感じていましたか?

アレクシス:たしかに、クラクソンズとかと一緒に分類されていたように思うけど、音楽の世界ではよくあることだよね。そう呼ばれたのもわからなくはないんだ。このアルバムの一部がレイヴっぽかったからニューレイヴって呼ばれたのか、次のアルバム(『Made in the Dark』)に入っていた「Shake a Fist」のシンセがレイヴっぽいからそう呼ばれたのか、はっきりとは覚えていないけど……。でも、僕らはあのジャンルやシーンの一部ではなかったと思っている。そういう感じの曲もあるけれど、全然違う要素の曲もたくさん作っていたし。

─そうですよね。

アレクシス:レイヴっぽいサウンドでいえば、ティンバランドのほうが「ニューレイヴ」を体現していた気がするよ。彼は90年代のブリティッシュ・レイヴ・ミュージックをピュアな形で引用しつつ、かなり興味深いことをやっていたよね。それはさておき、今はなんとも思わないけど、あの頃はニューレイヴとして語られるのがすごく嫌だった。なんで嫌だったのかがわからないから、単に僕が馬鹿だったのかも(笑)。

Translated by Aimie Fujiki, Aya Miyahara

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