ホット・チップのアレクシス、全アルバムとキャリア20年を本音で語る

3.『Made in the Dark』(2008年)



─なんといっても「Ready for the Floor」が人気ですよね。この名曲はどうやって生まれたのでしょう?

アレクシス:曲はジョーが作り始めたんだ。彼は最終的なバージョンとかなり近いトラックを先に作っていた。彼がそのトラックをスタジオ作業中に流したときは、本当に興奮してしまったよ。僕はすぐに歌詞を書いて、アル(・ドイル)もギターを入れたりなど追加を施し、それらを瞬く間に融合させていった。この曲がどういう背景から生まれたのかは、ジョーが知っていることで僕にはわからない。だけど、すごくポップだよね。それに今聞き返してもかなりオリジナルだ。この曲をガラージだったり、どこか(ジャンル)に置こうとしてもできないと思う。とても独特で、だから僕はこのプロダクションが気に入っているよ。

それに時々、YAMAHAの小さなキーボードの音が聴こえてくるのが嬉しくてね。僕がジョーにあげたんだけど、2ポンドとかだから……(日本円で)数百円くらいの安物だよ。それを大成功を収めたこの曲のなかで弾いてくれてるんだ。あと僕の歌詞は、内容としては思ったことを言わずに溜め込んだままでいることに対して、もっと口に出していこうよってことを伝えたくて書いたもので、ピーター・ガブリエルの「Come Talk To Me」に影響を受けている。誰かと関係性を築くためには、君が思っていることをきちんと話さないといけないよと歌っているのは、あの曲から影響を受けているんだ。





─アルバム全体としてはどうです?

アレクシス:タイトル曲の「Made in the Dark」は、これまで書いてきたなかでもお気に入りの一曲だ。他にも好きな曲はある、「Shake a Fist」「In the Privacy of Our Love」とか。ただ思うに、このアルバムは長過ぎるよね。当時の僕は60年代や70年代のダブル・アルバムをずっと聴いていた。今でも好きだけど、ボブ・ディランの『Self Portrait』とか、フランク・ザッパの『Uncle Meat』だったりを聴きながら、自分たちも二枚組のアルバムが作れると思ったのかもしれない。でも、それは間違っていた。音楽的には満足しているアルバムだけど、曲調にまとまりがないし、ムードがころころ切り替わってしまうから、通して聴くと気持ちよくないところもある。あと3曲減らせばよかったのかもしれないね。

Translated by Aimie Fujiki, Aya Miyahara

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