ホット・チップのアレクシス、全アルバムとキャリア20年を本音で語る

ホット・チップのアレクシス・テイラー(Photo by Frank Hoensch/Redferns)

さる10月上旬、初の単独来日ツアーを行ったホット・チップ。東京公演当日の早朝、アレクシス・テイラーが滞在先のホテルで取材に応じてくれた。2000年にロンドンで結成されて以来、ダンサブルなサウンドとキャッチーな歌心、キュートな佇まいで愛されてきたエレクトロ・ポップバンドのフロントマンが、デビュー作から最新作『Bath Full of Ecstasy』まで各アルバムの評価とエピソードを振り返る。


1.『Coming on Strong』(2004年)



─よろしくお願いします。お飲み物はどうします?

アレクシス:紅茶がいいな。アールグレイティーをホットで。

─(CDを取り出して)今回は、ホット・チップのアルバムを一枚ずつ振り返ってもらおうという企画です。

アレクシス:OK!

─本題に入る前に、一緒にバンドを立ち上げたジョー・ゴッダードとの出逢いは2000年代より前で、校庭でのレスリングごっこがきっかけだと聞いたのですが。

アレクシス:うん。僕らは学校にいて、レスリングをしていたんだ。でも本格的な試合ではなくて純粋に楽しんでいただけ。お互いがTVで観たレスリングの試合について語った流れで、僕らはそれを再現しようとしていたのさ。

─そこからどうやって意気投合したんですか?

アレクシス:僕らはどちらも音楽について、好きなバンドや音楽雑誌だったりを語ることが大好きで、当時はそれこそ毎日のように二人でライヴに行ったりしていたんだ。この頃から僕は曲を作っていて、ジョーはテープマシーンの4トラック・レコーダーを使ったりしながら、プロデュースのほうに関心を持っていた。やがて僕が曲を書いてジョーが録音するようになり、向こうも曲を書くようになってね。そこからパソコンやソフトウェアのQ-BASEを購入し、一緒に曲作りするようになり、徐々にホット・チップとしての活動が始まったんだ。


最初のEP『Mexico EP』(2000年)のオープニングを飾る「Beeting」



─『Coming on Strong』は改めていかがでしょう?

アレクシス:プロダクションはとても気に入っているよ。改めて聴くと、かなりユニークなサウンドで驚かされるね。このアルバムを出した頃は、これがポップな音楽には聴こえなかったから。その一方で、僕の歌詞はちょっと恥ずかしいな。いい瞬間もあるけどね。ナイーブで遊び心があって、リリックの面でも他にないものを作ろうと努力していた。僕らはヒップホップも好きだったし、バカげたものも好きで、その全てを取り込もうとしていたんだ。それが一部の人たちを「微笑ましい」と惹き付けた要因かもしれない。歌詞の所々をミュートできるなら、もう少し心地よく聴けるんだけど(苦笑)。

Translated by Aimie Fujiki, Aya Miyahara

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