スティーヴン・キング邸が作家専用レジデンスに

キング一家が、メイン州バンゴーにある自宅を記録保管所とレジデンスにする予定。(Photo by Robert F. Bukaty/AP Photo)

スティーヴン・キング氏が、記録保管所とレジデンスに関する追加情報をFacebookで提供した。

「まだ初期の段階ですが、隣の家を作家専用の隠れ家にする計画を立てています。一度に最大5人まで住むことができます」とキング氏。「敷地変更でメディアの注目を集めるのが第1段階でした。実際にレジデンスを運営するまで1~2年を見ています。これまでメイン(州立)大学に保管されていた収蔵品は、完全予約制で公開する予定です。ミュージアムではなく、一般公開もされませんが、研究者や学者は利用することができます」

スティーヴン・キングの愛読者はまもなく(入場資格をクリアすれば、だが)、メイン州バンゴーにある作家の自宅に滞在できるかもしれない――ただし、作家本人はおそらく不在だ。

バンゴー市議会は現地時間16日、自宅を非営利法人化して作品の記録保管所とし(入場は完全予約制)、最大5人の作家の居住地にしたい、というキング氏とタビサ夫人の要請を全会一致で承認した。夫妻は会合には同席しなかった。夫妻の弁護士ウォーレン・シルバー氏によると、ここ数年キング一家は家を空けることが多く、フロリダまたはメイン州オックスフォード郡に滞在するのがほとんどだという。

「キング一家は長年バンゴーの街に尽くしてくださいました。様々な目的で、地元に文字通り何百万ドルも寄付してくださいました」と、市議会メンバーの1人ベン・スプレイグ氏はローリングストーン誌に語った。「彼のレガシーをここバンゴーに保存するのは、コミュニティにとっても重要なことです」

「夫妻は自宅をドリーウッド(訳注:ドリー・パートンがオーナーを務めるテーマパーク)や観光名所にはしたくないと考えていました」と、バンゴー地域計画部のデヴィッド・ゴールド氏はニューイングランド・ケーブルニュースに語った。「そうなれば、ありとあらゆる人々が近所に押しかけるでしょう。そこで生活する隣人もいるわけですからね」

とはいえ、ウェストブロードウェイ47番地のキング邸は長いこと観光名所のようなものだった。翼のさまざまな生き物をあしらった飾り門つきの深紅の家の前では、ファンがしばしば記念撮影に興じている。

バンゴー歴史協会が所有する1983年のエッセイで、キング氏は最初にこの街に越してきたのは『IT』の構想を練っていたときだった、と書いている。この本の舞台となっている架空の街メイン州デリーは、バンゴーに実にそっくりだ。

「私は壮大な長編を思い描いていました。神話やドラマ、ストーリーが――何よりもストーリーが――小さなアメリカの街の日常の一部になる、そんな本になればいいなと思っていました」と言って、街の歴史を調べるため図書館に行ったときの様子を詳しく説明した。司書にバンゴーに関する学術書が12冊あることを聞いたが、どれもいい出来ではなかった。
キング氏は司書に街を舞台にした小説を書きたいのだと告げると、彼女はこう答えた。「まあ素敵!  作家仲間のベン・エイムス・ウィリアムスみたいね! 本当に彼はなんていい人なのかしら!  夏中ずっと毎日そこに座って。本当に気のいい、礼儀正しい人だったわ! ……なのに、あんなひどいものを書くなんて一体誰が想像できたでしょう!」

ウィリアムスとはアメリカ人の短編小説家。おそらく偶然だが、『IT』の主人公ベン・ハンスコムと同じファーストネームだ。ハンスコムもまた、デリー図書館に足しげく通っていた。

Translated by Akiko Kato

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