YuNiが語るバーチャルシンガーの使命

「ひとりの歌」から「みんなとの歌」に変わった

―もともと、デビュー曲「透明声彩」がバーチャルシンガーとしての「孤独」や「儚さ」を表現した楽曲だったことを考えると、「Beautiful World」の「もうひとりじゃない」という雰囲気は、アルバム『clear/CoLoR』以降のYuNiさんならではのような気がしますね。

そうですね。初期とは違って、この曲は「みんなで手を取り合おう」という歌詞になっていて、それは「昔よりも視野が広がった今だから歌えることなんだな」って思います。アルバム『clear/CoLoR』のときにもお話しましたけど、「透明声彩」や「Winter Berry」のような初期のオリジナル曲は、歌詞の中にYuNiだけしか出てこない、「ひとりの歌」だったと思うんです。でも、そこから活動を続けて、いろんな場所でライブをしたり、いろんな人に曲を聴いてもらう中で、アルバム『clear/CoLoR』の収録曲「Write My Voice」(YUC’eとともにデビュー曲「透明声彩」のレコーディングをサポートしていたkzが楽曲をプロデュース)では、YuNiの曲の中に初めて「君」という歌詞が出てくるようになって――。今回の「Beautiful World」では、「それなら、今度は“みんなで歌える曲”がほしい!」と思っていました。この曲は、サビの前に「さぁ謳おう」という歌詞が出てきますよね。そう考えても、YUC’eさんとの曲でも、今回は「ひとりの歌」から「みんなとの歌」に変わったというか。



―「繋いだ⼿と⼿で/いつかの夜に光を灯したら/明るい陽射しが降り注ぐ/優しい⾵を感じて/Beautiful World」というサビの歌詞にあるように、過去を振り返りつつ、穏やかな気持ちで新しい扉を開いていく今のYuNiさんの姿が伝わってくるような印象です。

YuNi自身も、YUC’eさんが書いてくれた歌詞を見たときに、「こんなところまで来たんだなぁ」と実感しました。今はもう、「YuNiって自分だけのことじゃないな」「支えてくれる人たちみんなでYuNiなんだな」と思っていて、その気持ちが、どんどん強くなってきている気がします。もともと、活動をはじめた頃は、「本当にこれでいいのかな」とずっと不安を感じていたし、誰かに言われた痛い言葉だけが刺さってしまうこともありました。でも、そこを乗り越えたら、もっと違う景色が見えてきたというか。今は応援してくれているみんながいて、何かあったとしても「ひとりじゃない」って思えるし、「自分のことを見てくれている人たちがいる」という自覚が、前よりも出てきたような気がするんです。最近も誕生日にみんながハッシュタグを用意して盛り上がってくれて、1000件以上のメッセージをくれて、「こんなにたくさんの人たちが見てくれているんだ――」と改めて実感しましたし、「ウタオウヨ、ウタオウヨ」で初めてライブでコール&レスポンスができたときも、「みんな、本当に歌ってくれるんだ!」って感動して。そうやって、みんなが反応を返してくれたことで、「みんなに近づけたかな」「本当に繋がれたのかな」と思えるようになりました。





―聴いてくれる人たちとのコミュニケーションの中で、自分の変化を実感した、と。

そうやっていろんな経験をさせてもらったからこそ、来年以降は、まだこれまで行ったことのないところも含めて、「もっといろんな場所に出て行って、どれだけ受け入れてもらえるかを試したい!」って思っています。これまでVが好きな人たちとたくさん出会えて、そこでいろんな経験をして、いい思い出しかなかったので……。だからこそ、今度はそうじゃない場所にも出ていって、「もっと戦っていかなきゃいけない」と思っていて。たとえば、リアルで活動しているアーティストの方たちと一緒に曲をつくって、それをみんなで楽しめるようなライブを自分で主催できたらいいな、とも思ったりしているんです。受け身でいるんじゃなくて「自分で動いていかなきゃいけない!」と思うので、来年は、そういうことを目標にできたらいいな、って。そもそも音楽というのは、バーチャルもリアルも関係なく、いろんな人たちが楽しめるものですよね。だからこそ、これまで出会ってきた人たちのことを大切にしながらも、同時に、もっともっと新しい人たちに会いにいって、そのみんなで一緒に楽しめるような、自由な場所をつくれたらいいな、と思っています!


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「Beautiful World」
YuNi
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