TOTALFAT・Shunが語るblink-182「天性の華がある部分に憧れるのかもしれない」

Shunとブリンクとの出会い

―そういうShunさんご自身は、ブリンクとどういうふうに出会って、どういうふうに影響を受けてきたんですか。

Shun:出会ったのは高校2年生の頃かな。元々は、もっと男臭いパンクロックが好きだったんですよ。だから、ブリンクに関しては『Enema Of State』くらいまで「ブリンク聴いてる人はちょっとゴメン」とか言っちゃうくらい、聴かず嫌いだったんです(笑)。でも、友達のお姉ちゃんがコテコテのポップパンク好きで、ファッションもブリンクに影響を受けてロングソックスを履いてる感じだったんですよ。で、そのお姉ちゃんに「ブリンク最高だよ!」って何度も言われてるうちに、なんとなく聴くようになっていっちゃったんですよ。そしたら、『Enema Of State』の音の処理の面白さとか、普通の曲じゃないっていうことにどんどん気づいていって。



―具体的にいうと、そのサウンドのどこが面白かったですか。

Shun:たとえば「Anthem」を聴くとわかりやすいんですけど、ヴォーカルにずっと謎のショートリヴァーブがかかっていたり、声が遠かったり、演奏も浮遊感があったり。それに、これはたぶんですけど……あのアルバムはドラムを最後に録ってるんですよ。

―ああー! 一般的な録音とは真逆の順番なんじゃないかと。

Shun:そうそう! これは20年近くバンドをやっている自分の経験と重ね合わせた憶測なんですけどね。あの作品からトラヴィスが加入してるじゃないですか。だから、必然的にドラムを最後にせざるを得なかったところもあると思うんですね。ドラムを録音する前に、ドラムがどんなプレイをするのかがわかる前に、ギターとベースと歌だけで曲をFIXさせてたんじゃないかなって。そこが独特のサウンドメイクになってる気がするんですよ。

―そうなると、トムのギターの変さもわかってくるというか。トムのギターって、リズムに回っているように聴こえる場面も多々ありましたよね。

Shun:トムって、トラックメイカーでありラッパーだと思うんですよ。ギターでトラックメイクして、ラップに近い歌唱なんだけど、たまたまメロディが半端じゃなかったっていう。そう考えると、結構奇跡的なバランスで成り立ってたのが当時のブリンクだったと思うんです。それが一番表れてたのが『Enema Of State』だった気がしていて。

―『Enema〜』を今聴くとわかりやすいですけど、曲の構成としても、予想外のところに飛び続けるじゃないですか。普通のポップミュージックとは違って、曲の中に一切の定型がない。

Shun:……まあ、こうしていろいろ語りはしましたけど、結局はトムの透明感のある声の中毒になって、気づいたら「ブリンク最高!」って言うようになってた気もするんですけど(笑)。で、そこにトドメを刺したのが『Take Off〜』だったと思うんですけどね。ドラムも何も決まっていない時点で曲を完成させたアルバムを経て、そこにヒップホップのビートも叩けるトラヴィスが入ってきて、じゃあこれで何ができるかな?って考えて作ったのが『Take Off Your Pants and Jacket』だったと思うんですよ。



―「Stay Together For The Kids」のようなメッセージソングも増えて、トム、マーク、トラヴィスの3人でできること、やりたいことが明確になった作品でしたね。だからこそ曲の強度も半端じゃなかった。

Shun:そう考えると、『NINE』にしろ、前作『California』にしろ、今もずっと「ブリンク最高!」って言える作品を生み出し続けてるのがすごいと思うんです。それに、さっき言ったインテリジェンスの部分で考えると、マークが人格者であるっていうところにも俺は憧れてて。ドラムのトラヴィスはもちろんすごいけど、やっぱりブリンクの知的な部分はマークが担ってると思うんです。3年前アメリカまでブリンクを観に行ったんですけど、そこでもマークはすごく落ち着いていて、纏っている空気感からして紳士なんですよ。ロックスターという以上に、大御所のハリウッドスターみたいな。

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