早熟のソングライター、betcover!!ヤナセジロウが「中二病」の残像を振り払うまで

ー最近聴いていて気に入ってる音楽はどんなものですか?

ヤナセ:最近だとブレッド&バターも聴けるようになりました。前は「クソが!」って思ってたけど(笑)。今は「あぁ、良いメロディーだな」と思って。あとはサーファー・ブラッドの新譜も超良かった。メロディーが「夏。思い出」って感じで。それ以外だと、もう活動してないけど中国のYOURSとかハードなんですけど、どれもすごくメロディが良いですね。




ー歌に意識が強くいってるのも、そのあたりの影響があるんですかね。

ヤナセ:きれいなメロディを作りたいっていうモチベーションはずっとありますね。後はメッセージと情景があるものが好きですね。ライブは音源とは別の生き物だから、その時のテンションを全体でどう見せたいかが、影響してくる。全体の流れを考えるのが好きですかね。

ー以前、舞台が好きって話もしてましたし、たまに音楽以外のフォーマットでの表現方法もやれそうだなって気も勝手に思っていたんですよ。それこそ小説とか?

ヤナセ:ああ、でも音楽以外はめっきり駄目ですね。小学校の時に書いていましたけど、「ダメだ、向いてない」って。先日、町田康さんと対談させていただく機会があって(CINRA.NETに掲載)、町田さんがおしゃってたのは「音楽は言葉とかそういうイメージを広げていく、音に乗せていく。文章は狭めて固めていくもの。その表現だからまったく別物。音楽と歌詞と文章は相反する。まったく一緒に語れない」って。音楽は意味のない言葉を意味のある風な音に乗せて広げるから楽しいですね。僕は責任のあるものは出来ない。

ーでもある種、自分自身でも言葉にできてない部分というか言葉になる未満みたいなものを、こんな感じ?みたいな音でも伝えられるのって相当表現として良いフォーマットですよね。

ヤナセ:楽しい表現ですね。文字って文面以上を伝えるのは、難しいですね。それを広げる……みたいな考えじゃないですもんね。ストーリーでもここの一節がないと、この大半の意味はなくなるじゃないですか。そんなの無理だと思って、もっとフワフワしてたい。音楽は誰にでも当てはまるような部分を残したり、逆に意味が分からないけど個人的に大事なものを残した色んな人の耳に留まるまったりするんですよ。詩人でもカットアップって技法を使っても、流れやリズムがあって、それはそれで不思議ですよね。



ー確かにbetcover!!の音楽ってめちゃめちゃ個人的だけど、勝手に分かっちゃう気がする部分がある、みたいな。

ヤナセ:そうですね。それは結構意識してはいますね。

「皆が夏休みの時に自分だけいなくなったもんだから、未だに夏休みの気分が抜けらんないんです。高校を退学せずに、卒業した周囲も自分も10代から成長して大人になったけど、僕は平行世界に立ってるような孤独感はある」(Quick Japan vol.143 筆者によるインタビューより抜粋)

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