ヘイトグループの実態は「街のごろつき集団」なのか?

2019年8月14日、ニューヨーク州マンハッタンの高位裁判所に出廷するマックスウェル・ヘア被告とジョン・キンズマン被告 (Photo by Jefferson ​Siegel/The New York Times (2))

2018年、米ニューヨークのイベントで極右反対デモの参加者4人を襲撃した罪で、ヘイトグループ「Proud Boys」のメンバー2人が懲役4年の刑を言い渡された。

去る夏、マックスウェル・ヘア被告とジョン・キンズマン被告はニューヨーク州最高裁判所で、集団暴行未遂、暴行未遂、騒乱罪で有罪を言い渡された。2人は、Proud Boysの創始者ギャビン・マキネス氏が演説を予定していたニューヨークのメトロポリタンクラブのイベントで、極右に反対するデモ参加者4人を襲撃した罪に問われていた。

公判で両被告は自己防衛を主張していたが、ニューヨーク・タイムズ紙が入手した監視カメラの映像は彼らの言い分と矛盾していた。映像には、ヘア被告ともう1人のProud Boysのメンバー、ジェフリー・ヤング氏が先に暴力をふるい、デモ参加者に襲いかかって殴打する様子が映し出されていた。2人の被告は最高15年の禁固刑が求刑されていたが、判決を言い渡される際に騒動への関与を謝罪した。

州最高裁判所のマーク・ドワイヤー判事は量刑判決で、ヘア被告とキンズマン被告が他の活動家らに、政治的理由で街中での暴力行為を行っても良いとする危険な前例を作ったとして非難した。「歴史的に見ても、1930年代のヨーロッパで何が起きたか明らかです」と判事は言った。判事はまた、騒動の火付け役がマッキネス氏であることもそれとなく言及したようだ。「一部の人間が壇上であおり立て、仲間や従者たちが問題を起こすというのは恥ずべきことです」

Proud Boysは男性メンバーのみで構成される集団で、反過激派研究者のサマンサ・カトナー氏が長年言い続けてきた表現を借りれば、「暴力的なファシズム過激主義的な秘密組織」だ。これまでにも結束の緩い反ファシズム抗議団体アンティファのメンバーらと暴力的な衝突を繰り返してきた。Proud Boysの現リーダー、エンリケ・タリオ氏は、2017年にシャーロッツヴィルでの極右連合集会でデモ行進を敢行。その結果、極右派と反ファシズム派の間で暴動がおこり、1人の抗議団体のメンバー1名が死亡した。

南部貧困法律センター(SPLC)は、「白人ナショナリスト的なミームの使用」、「既存の過激主義者らとの関連」、「反イスラム教および女性差別的な発言」を理由に、Proud Boysをヘイトグループに指定している。マキネス氏はこの指定に真向から反論し、自分たちは「月に1度集まってビールを飲む男性専用のクラブ」だと主張。今年初めにSPLCを名誉毀損で訴えている。彼らはまた、暴力はあくまでも自己防衛だという主張を繰り返しているが、カトナー氏が作成した地図はこれを否定している。北米で発生したProud Boys絡みの暴動件数を追跡したこの地図によれば、2016年から2019年現在までその数は130件を超えると、同氏はローリングストーン誌に語った。

Translated by Akiko Kato

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