性犯罪を多数担当した元検事補が今でも後悔する「プレッピー殺人事件」

レヴィンさんの事件と容疑者の扱い、そして本性

1986年、ジェニファー・レヴィンさんはセントラルパークで、ロバート・チェンバーズによって殺害された。ハンサムで魅力的な19歳の男性は、レヴィンさんが荒っぽいセックスを強要し、事故で死なせてしまったと主張した。フェアスタイン氏は当時マンハッタン地方検事局の地方検事補だったが、検事も被害者も劣勢だった――フェアスタイン氏の場合、それまで殺人事件は一度も担当したことがなかった。「職場には180人の検事がいました」とフェイアスタイン氏はドキュメンタリーシリーズの中で指摘している。「そのうち女性は7人です。あそこでは、それまで殺人事件を担当させてもらった女性は1人もいませんでした。この仕事は女性には厳しすぎると思われていたんです」。 殺人事件を扱った女性検察官は、彼女が2人目だった。

レヴィンさんに関していえば、裁判への関心が高まるにつれ、彼女の評判が何度も取り沙汰された。セックス、死、そして殺人容疑者。全5話中の間、本来の意味が失われるほど頻繁に、容疑者が「ハンサム」だったと繰り返されている。友人やメディアは、彼が人殺しをするなど信じられなかった――それでレヴィンさんに非難の矛先が向けられた。彼女はセックスに狂った魔性の女だということにされてしまった。

チェンバーズの好青年的なイメージや、レヴィンさんはセックス狂いだったという主張にもフェアスタイン氏は動じなかった。チェンバーズの経歴を洗い直した彼女は、彼が決して見た目通りの上流階級の青年ではなく、実は麻薬常習者で、麻薬欲しさにしばしば友人の家から金を盗んでいたことを突き止めた。事実、彼はデヴィッド・フィルヤーという男と組んで知り合いの裕福な家で強盗を働いており、2人で逃走した。その後フィルヤーは、レイプに失敗した女性を何度も刺し、遺体を置き去りにしたとして1985年に逮捕された。彼は殺人未遂と暴行未遂、2件の強盗で起訴された。

Translated by Akiko Kato

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