SWの守護神・ルーカスフィルム社長キャスリーン・ケネディが語る、最新作とこれから

ーということは、本当にまだ次は決まっていないんですね?

決まっていません。様々な選択肢を検討して、どんなふうに展開するか、いろいろ模索しているところです。ご想像にお任せしますよ。過去に戻るのか? それとも未来の話なのか? こうした問題も解決されつつあります。同じ銀河系が舞台なのか? それとも別の銀家系か? 宇宙には果てがありませんからね(笑) 良いふうにも、悪い風にも取れますね。可能性は無限大です。その分、自由でワクワクしますが、かなりのプレッシャーや不安ものしかかってきますから。

ーマーヴェルのケヴィン・フェイギが加わった経緯を教えてください。

ケヴィンも昔からスター・ウォーズの大ファンで、本人もはっきり公言していました。『スパイダーマン』シリーズの2作品をやってみて、自分はマーヴェルの仕事もやりつつ、他のこともやれるんじゃないかと思ったんでしょうね。彼のほうから我々にアプローチしてきて、スタジオ側に「僕が加わって、スター・ウォーズの1作品をやらせてもらえる可能性はありますか?」と言ってきたんです。私もいい考えだと思いました。それで具体的にどんなことができるか、タイミングはいつがいいか、という話し合いを始めたところです。でも、本当にまだ始まったばかりですね。

ー今の仕事を、こんなに長く続けることになるとは思っていましたか?

一応言っておくと、この仕事を心から楽しんでいるんです。信じられないぐらいワクワクさせてもらいました。ジョージから直々に頼まれたということだけでも、大きな責任を感じましたしね。これから自分がシリーズを任されたんだるという思いでした。いざ新作を作るとなれば、彼と同じくらい情熱を持ったチームを集めなくてはなりません。この先どうなるのか、どのぐらい続けていくのか? 私にもまだ分かりません。様子をみているところです。ついに壮大なサーガを完結させて、素晴らしい映画を作るところまでもって来れて、本当に大満足です。観客の皆さんにもご満足いただけると思いますよ。なので、今は目の前のことだけに集中しています。先のことは、これからですね。

ーボブ・アイガーの最新著書のおかげで、ジョージ・ルーカスが『フォースの覚醒』に不満を抱いていたことが少し分かりました。その点はどう思いますか?

個人的に、ジョージと私は『レイダース/失われたアーク』の製作前に出会った時以来の仲なんです。長いですね、35年以上もの付き合いです。これからもジョージとは大大大親友でいるつもりです。自分とは切っても切り離せないものを作る場合、他人に任せたり、思っていたのとは違う方向へ進むのをただ見守るのが辛くなることはよくあります。だから最初は、ジョージにとっても辛かったと思いますよ――あんなに辛いとは彼も予想していなかったんじゃないでしょうか。J・Jはあれだけ熱心に、スター・ウォーズやジョージを神のように崇めていました。と同時に彼は自分らしさも出していかなくてはならなかった。彼自身の作品にしなくてはならなかったんです。映画製作に関わる監督はみな、自分らしさを見せなくてはならない。ストーリー展開の中に、自分らしさを出していかなくてはいけないんです。それが新たな視点となる。ジョージが反応したのもそこじゃないかと思います。

彼はJ・Jの判断すべてに納得していなかったかもしれない。それはライアンに対しても同じでしょうね。でも彼は、映画製作のことはちゃんとわかっています。それは私が保証します。それにILM社(ルーカスフィルムの視覚効果部門を担当するIndustrial Light & Migic社のこと)の仕事ぶりも認めています。まあ、彼が立ち上げた会社ですしね。いつもいつも私に言うんですよ、あそこまでやるとは思わなかった、とか、人の心に訴えるにはどうすればいいか、とか。この間もいきなりやってきて、『ザ・マンダロリアン』の製作状況を確認していきました――(監督の)デイヴ・フィローニとは長い付き合いなんですよ。(シリーズの製作者)ジョン(・ファヴロー)とも長い付き合いです。撮影セットで製作状況を見た彼はまるで子供のようでした。彼がまた夢中になっているのがわかりました。だから後悔する気持ちも少しはあると思いますよ。自分はもう前線で監督するわけではないけれど、いまも関わっているわけですから。じわじわと感じているでしょうね。つねにジョージの気持ちがわかるわけではありませんが、彼は自分が作り上げたものをそれはそれは誇りに思っています。2020年になろうとしている今も、大勢の人が楽しんでいるなんて、本当に驚くべきことですよ。

ージョージの気が向いて、1度だけ監督するとか、そういう可能性はあったりするでしょうか?

どうでしょうね。でも、そうなったら素晴らしいと思います。もし彼がまたやりたいという気になったらね。でも、どうでしょう。彼はいまミュージアムのほうに一生懸命ですから(ロサンゼルスの美術館George Lucas Museum of Narrative Artのこと)。これまた壮大なプロジェクトで、きっと素晴らしいものになりますよ。映画製作がテーマのミュージアムなので、引き続きストーリーテリングに没頭しています。それと、小さなお嬢ちゃんにも(6歳の娘、エヴェレストちゃん)。なので、彼は今ものすごくイキイキしていますよ。



Translated by Akiko Kato

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