米シラキュース大学の根深い人種差別問題 Airdropで送信された恐怖のファイルとは?

連続する事件と大学の不適切な対応

とはいえ、教職員や有色人種の学生たちは(大半は匿名という条件で取材に応じてくれた)、この数週間の出来事が単独の事件とはとても思えないと言う。学内の有色人種の学生にとって、ここ数週間の出来事は――学生たちが言うところの、学校側の不適切な対応と相まって――まるで歴史が繰り返されているようだ。大学内の人種差別は「昨日や今日の話ではありません」と言うのはジェン・ジャクソン博士。シラキュース大学で政治学を教える助教授で、ソーシャルメディア上で学生活動を声高に支持している人物だ。「今持ち上がっている問題を、学校側は偶発的な事件やランダムな出来事ではなく、キャンパス内の組織的問題と捉えるべきだと思います」

NotAgainSUが公開したタイムラインによれば、シラキュース大学の一連の事件の発端となったのは11月7日。この日、1年生の学生寮デイ・ホールのバスルームに、アジア系や黒人の学生を標的にした人種差別的な落書きが描かれ、ひどく荒らされていた。黒人学生向けの学内誌レネゲードマガジンによると、公安局(DPS)長官と大学運営職員は寮生を集め、ソーシャルメディアに事件の画像や動画を一切投稿しないよう指示した。一部の学生がこれを無視したため、落書きと破壊の動画はキャンパス中に広まった。加えて、ローリングストーン誌の取材に答えた学生らはみな学校側の対応を非難し、DPSが事件を学内安全警戒として報告したのは事件直後ではなく、14日朝になってやっと報告書を提出した点を指摘した。

「(運営部は)透明性を謳い、学生の安全が最優先だと言っているくせに、矛盾していますよね。こんなに時間がかかってるんですから」と、別の有色人種の学生もローリングストーン誌に語った(弊誌が大学側にコメントを求めたところ、大学の代表者はケント・シヴラッド学長の声明を転送してきた。シヴラッド学長は、この数週間の事件の詳細には特に触れず、「数日かけて協議を重ねた結果、プログラムやリソース、その他すでに対応済みや対応中の措置について、周知と透明性の改善が必要であることが明らかだ」と認めた)。

Translated by Akiko Kato

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