山嵐・武史 ミクスチャーロックの重鎮、結成23年目の挑戦

「自分たちの音楽でどこまで行けるのか、それを考えるようになりました」

 武史は山嵐以外にもストリートブランド「ALL&DIA」、アクセサリーブランド「DRESSMARIANO」のディレクションを務めている。

「“ALL&DIA”は自由に出したいときに出してます。もうひとつ“DRESSMARIANO”というアクセサリーのブランドもやってて、それも出したいときに出す感じですね。アパレルってある程度動きを見せなきゃいけないけど、それも疲れちゃうし、自分が作りたいものができたときに出すようにしてます。僕はファッションも好きだし、古着も好きなんで、それも表現の一つというか、結局音楽と繋がっちゃうんですけどね。こだわりは自分が付けられるもの。特にアクセサリーは自分が付けたいものを作ってますね。それを人が付けたり、似合ったりしていると、すげえ嬉しいし。自分が付けられるものは人が付けても似合うんじゃねえかって、勝手な決めつけですどね(笑)」


Photo by Mitsuru Nishimura


Photo by Mitsuru Nishimura

では、ここで音楽以外の趣味について尋ねてみた。

「キャンプとかも好きですよ、山に登ったりとか。スピリチュアル系とか、似合わないかもしれないけど(苦笑)。人がいないところというか、結構大自然に行くんで、気流の流れとかもわかるんですよ。寒気と暖気がぶつかって、天の川みたいになったりして。そういう感じで自然とたわむれてます。ボケッとしながら、何も考えないっすね、自然と一体になります。メシのことぐらいしか考えてない。そういう時間も大切にしてますね。1年に何回か、自分でそういう時間を作るから」

また、以前に料理を作るのも好きだと小耳に挟んだこともあり、それについても聞いてみた。

「うまいものを食いたいんで、ただそれだけなんですけどね。こだわりですか?野菜かな。なるべくオーガニックなものがいいですね。ただ、何でも食いますけどね、マックも普通に好きだし。でも調味料もいいものを選ぶようにしてます。ちょっとロックぽくないですよね、はははは。料理も音作りと一緒で、楽しんでやってるから。似てるところはあるっすね」

ところで、今はどんな音楽を聴いているのだろうか。すると、ジャンルにこだわらず、ヒップホップ系ではInjury Reserve、舐達磨、ゆるふわギャング、ロック系ではKORNの『THE NOTHING』、blink-182の『NINE』、BABYMETALの『METAL GALAXY』と最新作も既にチェック済みで、特にKORNのアルバムはベタ褒めしていた。また、映画『イエスタデイ』の影響でビートルズをあらためて聴き返しているという。そんな武史は音楽とライフスタイルの関係性についてはどう考えているのだろう。

「ずっと地元(湘南)にいて、音楽と日常は一緒なんですよね。音楽と共に生きているし、それはいままでもやってきたんですけど、自分たちの音楽でどこまで行けるのか、それを考えるようになりました。まあ、山嵐は家族を持ってるメンバーがほとんどなので、そういう人たちもハッピーにして、自分たちの夢も叶えたいなと。今はとことん音楽と本気で向き合っている状態ですね。いろんなものをちゃんと背負ってやりたい。まだベテラン感を出すのは早いし、最近は超ルーキーだと思ってやってるんで(笑)。ここからまた行くぞ!という気持ちですからね。音楽のおかげで夢を追えているから、それは感謝っすね」

ここ最近はキャラクターラッププロジェクト「ヒプノシスマイク」に楽曲提供、イベント・ライブに出演したりと、また新たなリスナーを開拓している山嵐。武史の発言からもわかる通り、ミクスチャーロックの重鎮は今なお最前線で闘い続けているのだ。

ロケ地協力:桜丘カフェ



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山嵐
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山嵐
1996年結成、湘南エリアを中心に活動を始める。オリジナル・メンバーは、YOSHI AKIISHII(Dr)、武史(Ba)、KAZI(Gt)、KOJIMA(Vo)、SATOSHI(Vo)。1997年6月、メガフォースより1stアルバム『山嵐』をリリース。1999年には2ndアルバム『未体験ゾーン』をリリース。本作品ではラッパ我リヤとのフィーチャリングを果たし、後のコラボレーションアルバムリリースへのきっかけを作る。2000年10月、麻波25のYUYA OGAWA(Guitar)が加入、現在の布陣となる。2002年4月、メガフォースから独立、レーベル「豪直球」を設立。同年6月、シングル「山嶺」を皮切りにドリーミュージックからのリリースを開始。2003年10月には、ラッパ我リヤや湘南乃風、ケツメイシの大蔵、MONGOL800のキヨサク、Leyona、MOOMINなど、彼らを支持する様々なジャンルのアーティストとのコラボレーションアルバム『COLORSWATERMUSIC』をリリース。2003年11月20日大阪ベイサイドジェニー、12月3日川崎クラブチッタで行われた、この作品に参加したアーティストが一堂に会したライブ映像に加え、ライブを迎えるまでのドキュメンタリーで綴った映像作品DVD『6 COLORS』もリリース。2005年5月、主宰の人気野外イベントの布石となる「湘南音祭 Vol.0」を開催。結成10年目となる2006年には初めてのプロデューサーとして亀田誠治氏を迎え新境地を切り開いたアルバム『湘南未来絵図』をリリースした。2006年7月には「湘南音祭 Vol.0.9」を開催。横浜八景島シーパラダイスでの初野外開催となり、今や恒例の人気野外フェスと成長した。2007年6月の「湘南音祭 Vol.1」は、かねてからの目標だった江の島の特設野外ステージで開催。翌週には横浜でも開催され、本イベント初となる2DAY開催となった。2008年6月には、完全自主制作で自身のレーベル「豪直球」から、2年振りとなるアルバム『狼煙-NOROSHI-』をリリースする。2010年2月にはポニーキャニオン内の先鋭レーベルKnifeEdgeより、9作目となるアルバム『PRIDE』をリリース。2011年8月にはレーベルを徳間ジャパンに移し、通算10作目となるアルバム『YAMABIKO』をリリース。2011年11月には、結成15年目を記念し、この年開催が見送られた「湘南音祭」の番外編と題した東名阪でのライブイベントを展開。また、東日本大震災以降、江の島での開催が厳しくなった「湘南音祭」に替わり、武史が立ち上げ・運営に携わるOGA NAMAHAGE ROCK FESTIVALを秋田県男鹿市で開催。毎回大トリを務めている。2015年7月には、7人目のメンバーとして元THC!!のKAI_SHiNEの加入が決定したことを発表。2019年4月20日、CAFFEINE BOMB ORGANICS所属が決定。7月にはリレコーディング・ベスト『極上音楽集』をリリースした。
http://www.yamaarashi.asia

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