J-POPの歴史「1980年と1981年、劇的だった80年代の幕開け」

1981年。忘れてはいけないのは、パンクロックの本格的な上陸です。イギリスでは76年、77年にセックス・ピストルズが口火を切ってパンクロックが始まり、日本にちょっと遅れて入ってきた。80年にデビューしたのがアナーキーですよ。国鉄の労働者の人たちが来ているナッパ服を着て、腕に赤い腕章を巻いて、「俺たちはワークソングなんだ」「労働者ロックなんだ」という旗を掲げていました。78年にARBがデビューして、その後にザ・ロッカーズ、ルースターズ、そして大トリとして九州からTHE MODSが登場するわけですね。今日最後の曲、81年6月発売のTHE MODSのデビューアルバム『FIGHT OR FLIGHT』から「TWO PUNKS」。

THE MODS / TWO PUNKS


博多の親不孝通りにある80’s FACTORYというライブハウスからTHE MODSも出てきたんですね。そして、81年にBOOWYが結成されました。RCサクセションの80年の日比谷野外音楽堂を氷室(京介)さんが観るんですね。東京に来てうまくいかなくて群馬に帰ろうかなと思っていていたときに、RCのライブを見てもう1回バンドをやるんだと布袋(寅泰)さんに電話をした。そこから始まっているわけですね。1981年にスターダストレビューもデビューしました。佐野さんとか、BOOWYとか、スタレビとかアナーキーとか、みんな「EastWest」というコンテストから出てきたんですね。忘れられないのが、81年、甲斐バンドの花園ラグビー場での野外ライブ。これはおもしろかったですね。1曲目が「破れたハートを売り物に」という曲で、客席の芝生の上に座布団が置いてあったんですよ。ライブがはじまった瞬間、1万5000人のお客さんが全員座布団を投げたんですよ。国技館の相撲の優勝のシーンみたいですよ。花園ラグビー場の夜空に座布団が舞って、最前列の人はステージに向かって投げますから、コンサートが中断しちゃったんです。で、甲斐さんが「オルタモントにはしたくないんだ」って言って、かっこうよかったな(笑)。1回中断して始まったということもありましたね。81年、アリスが活動休止して、後楽園球場でバンドとソロのライブも行いました。矢沢永吉さんがアメリカに行ったのもこの年ですね。70年代が終わって 80年代が本格化した。そんな年でした。

この番組のエンディングテーマ、竹内まりやさんの「静かな伝説」。まりやさんは78年のデビューで、70年代終わりの女性シンガーソングライターからアイドルに流れが変わっていく波に巻き込まれてしまった。81年に活動を休止して、82年に達郎さんと結婚するんですね。本当に端境期だったと思います。私が1番忘れられないのは、81年4月の「ニューヨーク24時間漂流コンサート」。小室等さん、吉田拓郎さん、井上陽水さん。この3人でマンハッタンを24時間ストリートコンサートをしてまわる、漂流するんだという企画です。自慢話になってしまうんですけど、これ、企画構成は僕なんですね。TBSが30周年で「何か企画書を出さない?」と言われたとき、ニューヨークに行きたいなと思い、このメンツでニューヨークに行くのはあり得ないと思って企画書を書いたら通ってしまった。これが1980年代最大の思い出かもしれませんね。ガーディズ・フォークシティというボブ・ディランが歌っていたライブハウスがあって、そこに行ったらオデッタがいて、小室さんがフォークシティのステージでオデッタと「WE SHALL OVER COME」を号泣しながら歌った。そんなシーンもありました。明け方5時に、スタテンアイランド、自由の女神に向かって船に乗ったんですね。勝手に思い出しておりますが、あなたの80年代の思い出、いかがだったでしょう? あなたと私の80年代忘年会特集ということでお送りしています。来週は82年と83年の思い出の扉を開きましょう。

Edited by StoryWriter



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