KISSのジーン・シモンズに日本で直撃 「最後の来日公演」は本当にラストなのか?

―その前にまずは12月8日、日本でのツアーが始まるわけです。KISSにとって通算12回目のジャパン・ツアーということになります。それに向けてはどんな心境ですか?

ジーン:もちろんエキサイトしている。今回はニックとソフィー、つまり私の息子と娘を連れて来ることが叶ってね。2人とも日本に来たのは初めてなんだ。もうすでにあちこちを走り回っているよ。東京を買い取ろうとしているんじゃないだろうか(笑)。彼らは日本のものすべてを手に入れたがっているんだ。新聞だろうと雑誌だろうと、日本語のものはすべて欲しがるし、何もかも家に持ち帰ろうとしている。なにしろ彼らは日本のカルチャーの大ファンなんだ。彼らは武士道にも興味を持っているし、ペリーが来航(1853年)したことを経て、1868年にこの国に大きな変化が訪れたことも理解している。日本が大好きなんだよ。黒澤映画、ゴジラについてももちろん知っている。まあゴジラについては、彼らに限らずみんなにとってのお気に入りであるはずだけども。

―というか、きっとあなたがゴジラについてお子さんたちに教えたんですよね?

ジーン:まあね。なにしろ私はキミが生まれる前からゴジラを知っているから。

―いや、僕はそれなりの年齢ですから。

ジーン:おまえ、いくつなんだ?

―58歳です。

ジーン:ふむ。いいものを見せてやるよ。ジーン・シモンズとゴジラの写真だ(と言って、彼のスマホに保存されている数多くの写真のなかから、ゴジラの着ぐるみと一緒に撮られたショットを見せつける)。これは1977年に撮影されたものだ。

―初来日時に撮られたものですね、雑誌の取材時に。

ジーン:よく知っているな。他に、新しいゴジラ(=リメイク版)との写真もあるし、もちろんモスラも知っている。映画のなかで、小さな2人の女の子(=ザ・ピーナッツ)が「♪モスラ~や、モスラ~」と歌うこともね(笑)。ガメラ、(キング)ギドラも知っている。ああいうのが私は大好きなんだ。もちろんアストロボーイ(=鉄腕アトム)、エイトマン、ボルトロンもね。KISSはアストロボーイとコラボTシャツを作ったこともある。あれが実現した時は、すごくエキサイトしたものだ。

―僕もそのTシャツを持っていますよ。それはともかく、『END OF THE ROAD WORLD TOUR』は今年の1月末にヴァンクーヴァーを皮切りに始まって、すでに約100公演を経てきていますよね。

ジーン:その通り。ただ100公演ではなく100都市と言いたいね。今回は、同じ土地の会場で何本もやるのではなく、個々の都市を訪ねようと考えた。そうやって世界中を廻りたいんだ。来年には3周目のアメリカ・ツアーが決まっているが、これまでの2回とは違った都市に行く。可能な限り多くの都市でプレイすることを我々は望んでいるし、それによって各地のファンは5時間も10時間も長旅をせずに済むことになる。日本についても同じことだ。ジャャパン・ツアーと言いながら東京だけでプレイしてそれで終わりというのではなく、地方のやや小さな都市にも足を運ぶ。そうした地域でもKISSファンは待ってくれているし、彼らに遠出をさせるのではなく、こちらから会いに行きたいんだ。それは我々にとって、とても意味のあることだ。


Photo by Jay Gilbert


Photo by Keith Leroux

―今回のツアーのこれまでの経過を振り返ってみて、手応えはいかがですか?

ジーン:とてもいい。トミー(・セイヤー)、エリック(・シンガー)と共に、ヘルシーでハッピーで、ドラッグとも酒とも煙草とも無縁のツアーを続けてきた。誰もが感謝の念を抱いていて、我々はたいがいグッド・ショウをやり、ときどきグッドどころではなくグレイトなショウをやる。バッド・ショウは絶対にやらない。

―それは実際、KISSの歴史が証明しています。

ジーン:トミーとエリックを擁するKISSの歴史においてはね。ただ、オリジナル・ラインナップ時代も常にそうだったとは、私には言い切れない。もちろんオリジナルKISSも、素晴らしい情熱とエネルギーに満ちていた。しかし、いつしかエースとピーターは“何か”を使うようになり(と言いながら鼻から何かを吸う仕草をみせる)、ときには酷いショウになったこともあった。ハイな状態にある時に、フットボールやサッカーをまともにできるだろうか? ボールをちゃんと蹴られるはずもないだろう? 私は、クスリはやらない。医者が処方してくれるもの以外はね。ドラッグを使ってステージに立つなんてのは、ファンに対する侮辱だと私は思う。酔っ払ってろくでもないショウをやるのもね。ファンは常にバンドのことを気にかけている。彼らが愛するバンドの音楽は、彼らの人生にとってのサウンドトラックなんだ。バンドというものは、単なるバンドを超える存在であり、音楽もまた単なる音楽を超越したものだといえる。人々にとって何かしらの意味を持ち得るものだからね。

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