21歳ジュース・ワールドの突然死、本当の死因は何か?

ヒギンスの発作の原因はまだ明らかになっていないが、生前の彼は自身のドラッグ使用、特にリーン(訳註:このleanはPurple Drankと呼ばれる快楽を得るための麻薬の別称)について、インタビューや音楽でオープンに語っていた。ドラッグで情緒不安を解消することは、短い活動期間ではあったが、彼の音楽の中核をなすテーマで、彼の楽曲の多くに(リーンや処方薬の)薬品名が頻繁に登場していた。フューチャーとのコラボ・プロジェクトである2018年のアルバム『WRLD on Drugs』をリリースしたとき、ジュース・ワールドはラジオ局Hot 107.9に、最初にリーンを試すきっかけとなったのがフューチャーだったと語っていた。「子供の頃から音楽を聞いていたから、俺は6年生の頃には『Dirty Sprite(原題)』を聞きながらリーンをすすっていたよ。これは嘘偽りのない真実さ」と。

このあとでフューチャーがローリングストーン誌と行なったインタビューでは、ジュース・ワールドにそんな影響を与えていたことを後悔していると述べている。一方、ジュース・ワールドは、兄を見習ってドラッグを売りたがっている弟に彼ら二人が話して聞かせた内容を披露している。「大抵の連中にそいつなりの悪習や依存があって、そういう事に関しちゃ、ホント、よく知っている。だから、自分と同じ泥沼に他のやつに落ちてほしくないんだよ」とヒギンス。

今年初めにジュース・ワールドがローリングストーン誌に語ったことは、素面さを保とうと努力しているということだった。「自分自身が強くあれば、誰かが悪影響を与えようとしてもムダだね。自分自身が強くあれば、そんなことはどうでもいいんだよ」と。そして、このインタビューのあとで、「もうアレはやめる」と、ドラッグの習慣を断つ計画をツイートした。

たった数年でヒギンスは音楽界での活躍が期待される前途有望なアーティストとなった。さまざまなスタイルを癒合させた彼独特のスタイルの中でも、ポップ・パンクとエモをミックスしたヒップホップが特徴的だった。彼が頭角を現したのは2017年にサウンドクラウドにアップされた2曲のシングル「All Girls Are the Same」と「Lucid Dreams」で、後者はブレークするきっかけとなった曲だ。これにより、レーベル各社が熾烈な争奪戦を始め、最終的に推定300万ドルでインタースコープと契約した。

2018年にフューチャーとのコラボ・アルバム『WRLD on Drugs』をリリース後にデビュー・アルバム『グッドバイ&グッド・レダンスをリリースするまで、2017年から一連のEPをドロップしていた。今年の3月には2枚目のアルバム『デス・レース・フォー・ラヴ』をリリースし、この作品はローリングストーン誌の2019年のベスト・アルバムで第40位に選出された。

Translated by Miki Nakayama

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