Yogee New WavesとSuchmosが新木場で作り上げた夢のような一夜

自主企画イベント〈Dreamin' Night〉にてSuchmosと対バンをしたYogee New Waves(Photo by Naruki Yamaguchi)

Yogee New Wavesが2014年にスタートさせた、自主企画の対バン・イベント〈Dreamin’ Night〉。その第6弾が12月4日(水)東京・新木場STUDIO COASTにて開催された。

今年3月にリリースされたサード・アルバム『BLUEHARLEM』からわずか9ヶ月、彼らの新作『to the MOON e.p.』の発売日当日に開催された本イベントのゲストはSuchmos。2015年に東京・新代田FEVERで開催された、〈Dreamin’ Night vol.2〉でnever young beachと共演して以来、彼らにとってはおよそ4年ぶりの出演となる。チケットはゲストの告知解禁がされる前からすでにソールドアウトだったが、ブレイク前から親交の深い両バンドによる久しぶりの共演とあって、フロアにひしめく満員のオーディエンスたちの溢れる熱気は、開場前から並々ならぬものがあった。

トップバッターはSuchmos。今年3月に意欲作にして「問題作」となった通算3枚目のアルバム『THE ANYMAL』をリリースし、9月には地元、横浜スタジアムでのワンマン公演を成功させた彼らの、いわば「凱旋ライブ」だ。まずはその『THE ANYMAL』から「In The Zoo」を披露。ブルーノートをふんだんに使ったソウルフルなメロディを、ヘヴィなリズムの上で高らかに歌い上げるYONCE(Vo.)の姿に、まるで吸い込まれるように茫然と立ち尽くすオーディエンスたち。哀愁たっぷりのブルース・セクションからジャジーなブリッジを経て、サイケデリックなカタルシスを迎えるこの曲のプログレッシヴな展開は、『THE ANYMAL』の世界観を象徴するものだ。


Photo by Naruki Yamaguchi

「Suchmosですよろしく」とYONCEが短く挨拶し、湧き上がる歓声の中で続けて演奏されたのは、ハマスタでも披露した新曲「藍情」。YONCEのカウントに導かれ、3声(4声?)のアカペラから始まるこのワルツは、『THE ANYMAL』の世界観を受け継いだ壮大かつスピリチュアルな楽曲である。続いてTAIHEI(Key.)の弾くジャジーなエレピに乗せ、「お久しぶりです。Suchmosっていいます」とYONCEが即興でソウルフルに歌い上げていく。さらに、<東京のみなさんの前でやるのは、とっても久しぶり>、<若干のナーヴァスはさっき本番前のシガーでほぐしたつもりだったんだけど、でも、でも、Yogee New WavesのDreamin’ Night、Dreamin’ Night、今日はDreamin’ Night、Dreamin’ Night>と、ファルセットと地声を織り交ぜながら熱唱するYONCEに、フロアからは叫び声のような歓声が次々と上がる。筆者は先述したハマスタでのワンマンを台風の中で目撃したのだが、その時よりもさらにカリスマティックなオーラを放つYONCEの姿に、ただただ圧倒されるばかりだった。そこにTAIKING(G.)のファンキーなカッティングが重なり「TOBACCO」へとなだれ込んでいく。

「ヨギー、リリースおめでとう。今日呼んでくれてありがとう」とYONCEがお祝いの言葉を述べ、馴染み深いドラムフレーズが繰り出されると会場からは歓声が沸き上がる。2017年にリリースされたセカンド・アルバム『THE KIDS』からのリード曲「MINT」である。音源よりも、ひなびたメロトロンのコード・バッキングが強調され、ここ最近のSuchmosのサウンド路線へとマイナーチェンジがなされていたのが印象的だった。自然発生的なハンドクラップと共に、<調子はどうだい? 兄弟、徘徊しないかい?>というサビのコール&レスポンスを全員で行い、回るきらびやかなミラーボールのライトの下で、会場は一体感に包まれた。


Photo by Naruki Yamaguchi

さらに『THE ANYMAL』からのヘヴィ・チューン「Hit Me, Thunder」、2015年のEP『Essence』から「Life Easy」と矢継ぎ早に演奏し、ステージを後にしたSuchmos。新作『THE ANYMAL』で音楽性を大きくシフトさせ、賛否両論を巻き起こしたSuchmosだが、そんな騒ぎなどものともせず「今、自分たちがやりたいこと」をストイックにやり切る姿に大きな感動を覚えた。

Rolling Stone Japan 編集部

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