『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』共同脚本家が語る、最終章製作の内幕

ー今作ではレイの過去が描かれることはすでに公表されています。『最後のジェダイ』でライアン・ジョンソン監督が成し遂げた興味深いことのひとつに、フォースは全員の中に眠っている、という点が明らかにされたことがあります。ラストシーンでも、子供がフォースで箒を持ち上げていました。今回はどうやって、前作の核となったメッセージから逸れることなくレイの過去に新事実を加えたのでしょう?

ライアンが非常に面白いことをしてくれた、という点では僕も同意見だ。『スター・ウォーズ』の民主化さ。自分が何者かを決めるのは家柄や血筋ではない、自分の未来を決めるのは過去ではない、ってことだよ。でも今作ではこの衝撃的事実に向き合って、願わくばもっと広げていきたいと思ったんだ。白か黒、卑しい身分か王家の出、という風に二分できる問題じゃないと思うからね。両極の間にもたくさんのものが存在するんだ。(カイロ・)レンの言葉のチョイスだって……「お前は何者でもない」っていうセリフ――そもそも、あれはどんな意味なのか? レイが自分をそう思っているということなのだろうか? そもそもレイ自身、そういう問いを自分に投げかけたことはあるのだろうか? うっかりネタバレしないように必死だよ! 口にチャックしないとね。とにかく、ライアンが推し進めたアイデアはすごく貯めになるものだった。でも三部作についてはとくに言えることだけど、シリーズものは会話がすべて――さっきも言ったように、僕もJ・Jとテーマや裏テーマ、全体的なテーマについてよく話をした。『フォースの覚醒』でレイが何者なのか、どこから来たのか、ということが問題になって、『最後のジェダイ』ではある意味否定的な回答が出される。『スカイウォーカーの夜明け』ではこの2つを合わせて、第3の答えが提示できるだろうね。

ーあなたが監督と話し合ったとき、彼の中でレイ問題に対する回答はどの程度固まっていたんでしょう?

うーん、この質問にはノーコメントだな……かいつまんで言えば、そこがキモだってことさ。

ーあなたは『バットマンvsスーパーマン/ジャスティスの誕生』と『ジャスティス・リーグ』を経て今作の製作に関わったわけですが、この2作の経験は、この映画の実際の作業にどのぐらい役立ちましたか?

またシリーズものをやることになるとは思ってもいなかったんだ。事実、J・Jが僕を起用したのも、政治スリラーが書けると思ったからなんだ。政治ものをまたやるようになっていたし、そもそも脚本家としての原点もそこにある。そこへ『スター・ウォーズ』がやってきた。超超超大変な作業だったよ。究極のコラボレーションだった。プロデューサー陣のおかげだと思うよ、全員が同じ方向に向かっていたからね。これだけ大規模な映画を作る場合、並大抵なことじゃない。スタジオ側はこういう映画にしたい、プロデューサーは違う作品にしたい、監督はこうしたい、脚本家はこうしたい、と意見がバラバラになることもあるんだ。今作では、『アルゴ』の時とまったく同じだった。つまり、全員が同じ方向性で映画を作っていたんだ。途中で意見が分かれることもあったけど、それもまた楽しかったよ。

今回びっくりしたのは、登場人物の描写の仕方がいろんな意味で、小規模な映画と同じだったことだ。まさかと思うかもしれないけど、実際のところ、クリエイティヴな作業に関わった人間はごくわずかなんだ。まるでインディーズ映画を作ってるような感覚だったよ。今作のような世界規模の超大作をこんな風に言うなんて、ばかげてるように聞こえるだろうけど。リック・カーターとケヴィン・ジェンキンスがデザイン面を担当して、(視覚効果の監修に)ILMのロジャー・ガイエットがいて、(プロデューサーに)ミシェル・レジャンとキャシー(・ケネディ)、(衣装デザインに)マイケル・カプラン、キャラクターデザインににニール・スカンロン。それぐらいなんだよ。本当に少人数で共同作業して、互いに切磋琢磨し、時に意見を戦わせる。順風満帆な時もあれば、どん底の日もある。創作活動では当たり前だけどね。それが僕には励みになった。超大作の製作は楽じゃないってことは知ってるからね。J・Jやキャシーぐらいのレベルの人々が、こんな風に仕事をするんだ、というのがわかって、すごく勉強になったよ。


スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け
12月20日(金)日米同時公開

Translated by Akiko Kato

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE