鳥居真道の徹底考察、官能性を再定義したデヴィッド・T・ウォーカーのセンシュアルなギター

「点と点が線に。線と線が面に。」という言い回しがあります。高校生の頃に講演会にいらした方がこのフレーズを使用されていました。どういう文脈で使われていたのか忘れてしまいましたが、それはともかく、リズムにも点・線・面という3つのディメンションがあるように感じます。どのディメンションを前面にもってくるかということは音楽によって異なります。例えば「何の楽器を持っていようがドラムを叩くかのごとく演奏したまえ」と指示を出したJBのファンクなどは点を強調したリズムだと言えましょう。一方、今回取り上げた「You Sure Love To Ball」のような歌もののソウルなど面を前面に持ってきたリズムだと言えます。では、線のリズムとはどういうものか。それは今後考えていきたいと思います。

話を面のリズムに戻します。面のリズムといえども点がないというわけではありません。点と線と面はどのタイプの音楽にも内包されているもので、それらを実際に音にして表現しているかどうかの話です。デヴィッド・T・ウォーカーの奏法はリズムの面を表現しているように感じます。さきほど、シルクのシーツを引き合いに出しましたが、まさに面がゆらゆら煌めいている感じです。これはリズムの点がしっかりしているから面が輝くのです。点を打つポイントがまばらでは、目の荒い安手の使い古したシーツのようになってしまうことでしょう。言うまでもありませんが、デヴィッド・T・ウォーカーはやはりタイミングコントロールの名手でもあります。

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