「レイは何者か?」スター・ウォーズ製作陣の苦悩と証言集

レイ役のデイジー・リドリーとBB-8(Photo by Jonathan Olley/Lucasfilm LTD)

監督を務めたJ・J・エイブラムス、ライアン・ジョンソン、そしてレイ役を演じたデイジー・リドリーが、“レイの生い立ち”についてローリングストーン誌に語ったすべてのこと。主役レイの生い立ちとともにスター・ウォーズシリーズの製作プロセスに迫る。

※本記事は最新作『最後のジェダイ』のネタバレは含まれておりません。

スター・ウォーズの最新3部作には、マスタープランと呼ぶべきものがまったくなかった。Lucasfilmのキャスリーン・ケネディ社長と彼女のチームが指南役としていつも見守っていたとはいえ、『フォースの覚醒』から『最後のジェダイ』へと監督のバトンがJ・J・エイブラムスとローレンス・カスダンからライアン・ジョンソンに渡り、『スカイウォーカーの夜明け』で改めてJ・J・エイブラムスと脚本家として新たに就任したクリス・テリオに託されるあいだも、全体のストーリーと方向性においては制作者の自由な采配が許されていた(ジョージ・ルーカスが手がけたオリジナル3部作の数多くの要素は、ストーリーが進行するにつれて流動的であり続けたことも指摘しておこう——そうでなければ、ルークとレイアが唇でキスするなんてあり得ないのだから。しかも2回も。こうした流動的な傾向は、次の3部作でも続いた。たとえば、『シスの復讐』の草稿では、パルパティーンが“ミディ=クロリアン”操作によってアナキンを創造したと彼に明かしている)。

2017年、スター・ウォーズシリーズを再びJ・J・エイブラムスに委ねようと準備していたライアン・ジョンソンは、制作プロセスを必死に擁護した。「不思議だよね」とジョンソンはローリングストーン誌に語った。「聞いた話によると、一部のファンは、僕たちが行き当たりばったりでストーリーを作ってるんじゃないかって懸念を抱いてるらしい。意味がわからないよ。だって、そもそも物語って作り話じゃないか! 10年前に誰かがすべてをホワイトボードに書き出して、みんながそれを踏襲する、あるいはストーリーが展開するにつれて自然なやり方を見つけていく。いずれの場合も、過去のものを前進させて納得のいくエンディングへと導くために熟考しているんだ」

スター・ウォーズシリーズの紆余曲折をもっとも的確に表しているのがデイジー・リドリー扮する主人公レイの生い立ちだ。『フォースの覚醒』が謎めいたレイの生い立ちと両親の不在には重要な意味があることをほのめかした一方、『最後のジェダイ』は両親が「酒代のために」自分を売ったつまらない人々だったとレイに気づかせることで、彼女の過去の重要性を否定している。それに対し、J・J・エイブラムスとクリス・テリオは『スカイウォーカーの夜明け』でレイの生い立ちの重要性を語る、と以前から公言していたし、最新作はそれを証明している。スター・ウォーズ3部作を長年取材し続けてきたローリングストーン誌に対し、制作陣は不思議と緊張感をはらむこの話題について多くの発言を残してきた。今回は、J・J・エイブラムス、ライアン・ジョンソン、クリス・テリオ、デイジー・リドリーによるほとんどが未発表のコメントを紹介する。

2019年 J・J・エイブラムス
『フォースの覚醒』、『スカイウォーカーの夜明け』 監督・脚本

『最後のジェダイ』では、最終章のために準備していたストーリーのアイデアを避けるようなことはしなかった、とエイブラムスは語った。「レイはどこから来たのか? という質問に対し、いくつものアイデアがあった」とエイブラムスは言う。「それに、最終的なアイデアもあった。でも、ジョージ・ルーカスが『ジェダイの復讐』を『ジェダイの帰還』に変えたように、もっといいアイデアが生まれる。そこで『そうか、こっちのほうがしっくりくるな。実はこういう意味だったんだ』と気づかされる」

Translated by Shoko Natori

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