くりぃむしちゅー有田哲平はプロレスから何を学んだのか?

人生に寄り添う思い出の試合

―なるほど(笑)。よくわかりました。ありがとうございます。プロレスって人生に寄り添うものだと思うんです。個人的には1990年5月14日に東京体育館で三沢(光晴)さんがタイガーのあのマスクを脱いだシーンを見てて、なぜその日を覚えているのかというと、ちょうどその日に彼女と別れた事件があったんですよ。だから僕はあの試合をたまに見ると、そのことをものすごい思い出すんです。有田さんもプライベートなところで、プロレスがご自分の人生に寄り添っている、というような思い出の試合はありますか?

それを言い出したら山ほどありますね。ただ、さっき言った長州さんの「噛ませ犬」発言は昭和57年10月8日後楽園ホールなんですけど、その日に後楽園ホールで見たわけじゃないんですよ。熊本では後日放送だったので。だけど、その「10.8後楽園ホール」は、明らかに僕の人生が変わった瞬間なんですね。下の者が上の者に噛みついていいんだみたいな。そこから僕もクラスの人気者に対して噛み付くようになったんですよ。

―あはは。なるほど(笑)。

小学5年生ですからね。クラスの人気者の高田君にビンタして「俺はお前の噛ませ犬じゃなかばい」って言って。なんのこっちゃ、相手はわからなかったと思いますけど(笑)。向こうは勉強もできるし、スポーツもできるし、友だちも多いから、僕も勉強を頑張り、スポーツを頑張り、急に水泳とか行き始めて喘息だったのを治したりして。で、ルックスは変わらないので、あとはおしゃべりしかない。向こうのしゃべりより俺のほうが勝ってるなと思って、人を笑わすことをし始めたら、いつの間にか芸人になってましたから。

あとは、ちょうど自分が迷っていた平成2年かな。番組のシーズン2でも出てきましたが、1990年2月10日の東京ドーム大会ですね。新日本プロレスと全日本プロレスの団体対抗戦で、初めて新日本のリングに全日本の選手があがった時の興奮は忘れられないです。当時、大学受験で東京に来てたんですが、確か一つ大事な受験をすっ飛ばして見に行ってるんですよね。熊本だと年に一回くらいしか興行が来ないですし、しかもこの大会は絶対交わることがないと思われていた新日本と全日本の夢の団体対抗戦で。大きい声では言えないですけど、受験用に親からもらったお金で東京ドームの上の方の安いチケット買って見に行きました。人生に一番迷っていて、宙ぶらりんなわけですよ。予備校時代だったと思うんですが、受験でこの後どうなるのかって時にあれを見て、なんか……マジ頑張ろう!って思いましたね。……もう言い出したらキリがないです(笑)。たくさんありますから!

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