斉藤壮馬、音楽への偏愛を語る「ピート・ドハーティの言葉には魔法がある」

「ピート・ドハーティの言葉にはすごく魔法がある」

ー10代の頃に見たり聴いたりしたものって、大人になっても残るというか自分の価値観の出発点になると思うんですけど、そういう意味でリバティーンズやヴァインズなどのロックンロールリバイバルや、彼らが発していた言葉だったりメッセージに影響を受けているなと感じる部分はありますか?

斉藤 ピート・ドハーティの言葉にはすごく魔法があるなって、子供ながらに思っていました。彼は10代の時に詩で賞も獲っているし、英語のリリックも全部はわからなかったけど、対訳とライナーノーツを見るのがすごく好きで。対訳と見比べて、“あ、こういうことを歌っているんだ”みたいな。ピート・ドハーティみたいな人が、自分にとってリアルタイムに感じたロックスターというか。

オーケンさん(大槻ケンヂ)の言葉にもすごく影響を受けています。中学生くらいの時に、オーケンさん、中島らもさん、筒井康隆さんとかを読んでいました。小6まではいかにも優等生のように真面目に生きてきて、中1の時にアングラなものやロック、パンクと出会って。こんなものがあるのかと、自分の人生の最も大きな転換点のひとつでした。その時に触れた音楽とか言葉が、真面目に生きてきたが故の反動とリンクしたんでしょうね。

ー親だったり学校だったり社会に対しての衝動的なものがロックで、そういう人たちを見て感化されたというか。

斉藤 崇高な思いは持っていなくて、当時の自分としてはすごく真剣でした。僕は山梨県出身なんですけど、ここではないどこかに行きたいなとずっと思っていたんです。そういう気持ちをバンドで表現したり、あるいは小説を書いてみたり映画を観たり。フィクションに触れることで、自分の焦燥感を紛らわしていました。そういうことを考えていると、「ワルツ」みたいな曲ができるというか。ここではないどこかについて歌ったり書いたりすることが、当時の自分には必要だったんだろうなって。

ーグレたりはしなかったんですか?

斉藤 なかったですね。表向きは取り繕っておきたかったんでしょうね。それでいて、誰にも見せないけど本当の自分は違うんだ、ただのお利口さんじゃないんだって思いたかったんだと思います(笑)。だから、当時の曲は覚えているけど使えない歌詞が多いですね。これは余談ですが、田舎に住んでいたのでガレージでザ・スターリンみたいな曲を書いていて。今思うと、チバユウスケさんの真似事みたいな雰囲気もあったかも。シャウトに憧れていたんです。で、当時、我々はとにかく「何か」に憤っていたんですよ。なんていうか、変な構造なんですけど、パンクを先に知識として知っちゃったから、そう振る舞うのが格好いい!みたいな。で、ガレージで大音量で演奏していたら隣のおじさんに怒られて。根はみんな繊細だからしゅん、みたいな(笑)。

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