春畑道哉、多彩なギタープレイと作曲の源流を語る

春畑が選ぶ狂気を感じるギタリスト

―突然なんですが春畑さんが狂気を感じる・尋常じゃないと感じるギタリスト3名とそのギタープレイをピックアップして頂けないかと。

・スティーヴ・ヴァイ「For The Love Of God」

有名な逸話なんですけど、この曲をレコーディングするにあたってヴァイは断食からスタートされるんですね。ピラミッドに入って瞑想してからレコーディングに入った。もうその時点で普通のプレイヤーは追いつけない(笑)。まずマイピラミッドを持ってないですし(笑)。この曲を弾くにあたりそこまで魂を込めて突入しようと決めてたことは誰にもまねできないばかりか。プレイもすごいです。もうきてます、いってます。ここまで来ると上手い下手の話ではなくいんです。頑張ればコピーはできますが、もうテンションが追いつかないですね。



・ジミ・ヘンドリックス「Wild Thing Live@Monterey Pop Festival 1967」

やっぱりジミヘンは通常の感覚ではないですけど、特に燃やしてる時間帯は(笑)。僕も今回の新曲でかなり尋常じゃない感じでは弾いていますが、流石にまだ燃やしたことはないですね(笑)冒険して、ローディーに高く投げて渡すのは練習しましたけど(笑)。やっぱりギター落として欲しくないから(笑)。そう思うと僕はまだ甘いです。



・オズ・ノイ

この人のセンスもちょっとおかしくて、ライブ見てビックリしたんですけど、なんで今そのエフェクター踏むかなとか…見ていて予想外なんですよ。バッキング中なのに変態エフェクターが飛び出てきて。音のアプローチもチョイスするサウンドも、ずっと、え?そっちか、そっちか!みたいな。裏をかかれるんですよね。また今度ライヴを観に行くのが楽しみなんです。



―春畑さんが憧れる狂気のギタリスト、とても参考になりました。その一方で、春畑さんの出身地である町田市で11月に“まちびらき”を迎えた「南町田グランベリーパーク」のテーマ曲「Promised Land」はなんとも美しい新曲ですね。

南町田グランベリーパークというのは、本当に広い敷地の中に映画館やショップが入っている巨大なショッピングモールと公園があったりする場所なんですけど、その公園に行くと、ここでアコースティックライブやりたいなみたいないい感じの雰囲気の場所もあって。さっきの「Kingdom ~」とは真逆で、家族で来たり、愛犬の足を洗うスペースも準備されているので、愛犬と来たりする和やな場所で。で、実際に行って感じた雰囲気をメロディにしたんです。

―プロレスのテーマ曲から、わんちゃんが遊びに来る和やかな公園の曲までと、春畑さんはコンポーザーとしての引き出しが半端ない。ただ、振り返るとTUBEってデビューした頃は外部の人が作曲してた。春畑さんがソロを出した87年です。あの時のソロアルバムの作曲は春畑さんが?

当時もチャレンジしてたんですけど作った曲がなかなか使われなかったんだと思います。それか、一曲作るのに時間かかり過ぎていたのかちょっと覚えてないんですけど。『DRIVIN’』というデビューアルバムは確か1、2曲ぐらいしか作ってないかもですね。

―TUBEとして春畑さんが最初に書いた曲はなんですか?

TUBEでは1stアルバムで「ピンナップ・サーファーガール」っていう曲を書いてるんですけど。何曲か出してプロデューサーに「あ、これは使えるな」って使ってもらえるみたいな感じでしたね」

―ちなみに、コンポーザーとしてのスキルはどうやって上げていったんですか?

昔からピアノを弾いていて、その時からまずは曲作りみたいな部分もあって、曲を作るのは好きだったんですけど。最初は四小節で簡単にメロディをつけてみましょうみたいな世界から始まって。バンドを組んだ中学の時からオリジナル曲は作ってましたね。フォーキーな感じだったですけど。アリスとかオフコースみたいな。

―なるほど。いわゆるニューミュージック的な曲を書いてたんですね。

はい。でも自分では歌えないから歌ってほしくて書いてました。それこそ小田和正さんに憧れて曲を作ってましたね。小田さんが書く曲とは全然程遠いですけど。で、プロになる前から体育館や公民館を自分たちで借りて、演奏して聴いてもらったりしてたんです。でもオリジナルよりカバーの方が100倍ウケてましたね(笑)。オリジナルやりますって言うと皆んな下向くっていう。そこまでじゃないんですけど(笑)。

―そこからコンポーザーのスキルを上げていくのには、ひたすら書くしかないんですか? どんな瞬間に扉が開くんですか?

僕が書いた曲が使われるようになり出したのは、普段はプロデューサーからいろんな作曲家の方に曲を作ってもらうんですけど、ある時、タイアップサイドが選んだのが偶然僕の曲になった時があったんです。それを機にプロデューサーが「もう、あとは春畑でいいよ」って突然言ってくれて。そこからはアルバムも全部作らせてもらって。そこからかなぁ。アルバムに全部自分の曲でいいんだったら、テンション高い曲もバラードも、ライブでやりたい曲を想定して、いろんな曲調を作りたいと思って書き始めましたね。

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