性別の枠を超えた「人間」という単位の捉え方、LGBTQへの理解

実際には先の4つ以外にも、身体の性別の特徴が男女どちらともいえない「インターセックス」や、男女どちらにも性愛感情を抱かない「アセクシュアル」などの人も存在します。そのように、LGBTという括りからも漏れてしまう人がいることや、どんな性的指向や性自認のあり方でも、すべて守られなければならないという考え方から、LGBTQという言い方も増えてきています。Qはクエスチョニング(Questioning)あるいはクイア(Queer)です。

クエスチョニングは、自分の性別がわからない人、決めていない人、模索中の人などを指します。なんらかの性に自分を当てはめることで生きやすい人もいれば、そうでない人もいます。また、多くの誤解を持たれているところですが、セクシュアリティは固定的なものではなく、流動的で、変化することもあるのです。性は絶対にひとつに決まるものではないのです。

クィアは、元々「風変わりな・奇妙な」という意味で、かつては侮蔑的に使われることもある言葉でしたが、今ではあえてそれをセクシャル・マイノリティである自身を指す言葉として使うようになりました。また、最近では「性的指向(Sexual Orientation)「性自認(Gender Identity)」の頭文字をとって「SOGI(ソギ/ソジ)」という言葉も使われるようになってきています。この文章では、以降LGBTQを使用します。

いまだにLGBTQに対して「(生物学的に)異常だ」という偏見や誤解もあります。しかし、アメリカの精神医学会は1973年に「同性愛は精神障害ではない」と決議しました。また、国際精神医学会やWHO(世界保健機関)も「同性愛はいかなる意味でも治療の対象とはならない」と宣言しています。自然界を見てみても、同性愛は多く観られることで、特別なことではありません。むしろ、そうした「少数が存在すること」は、生物学、生態学的にも理にかなっているのです。また、そもそも生物学や生態学の問題とは別に、私たちは、例えば奴隷制度から脱却してきたように、皆が尊重される社会になるように、少しずつでも変えてきた歴史があります。それが「人間」の誇るべき特性のひとつであるとも思います。

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