米イラン衝突とイラク戦争に共通する6つのキーワード

米イランの現在進行中の緊張状態が、かつての米国によるイラクへの疑惑の軍事介入と重なって見える。(Getty Images; Shutterstock)

2020年の年明け早々、イランのカーセム・ソレイマーニー司令官が、イラクのバグダッド国際空港周辺で実施された米軍のドローン攻撃により殺害された。結果として米国は、中東における戦争の危機に再び突入することとなった。

トランプ政権によるイランに対する突然の軍事行動は、理路整然と進めようとしたジョージ・W・ブッシュのネオコン政権による2003年のイラク侵攻とは対照的である。しかし両紛争を巡るレトリックには、明らかな類似性も見られる。どちらも「非常に希薄な」証拠を、軍事行動を取らざるを得ない差し迫った危機の根拠としている。

筆者はジャーナリストとして、イラク侵攻に踏み切った前の米共和党政権による嘘の数々を確認してきた。そして今、イランとの衝突を正当化しようとするトランプ政権による根拠の薄い主張や、対立する相手側国民による歓喜のデモが起きるなどという馬鹿げた予想、そして先々の展開を全く読まない姿勢は、過去の政権による最悪の決断を彷彿させる。

以下に、2003年のイラクと2020年のイランにおける軍事衝突に見られる不穏な6つの共通点を列挙する。(注釈:各役職は当時のもの)

1.  解放のための軍事行動

2003年イラク:
「我々は将来、イラク国民を解放したとして歓迎されると心から信じている」
ディック・チェイニー副大統領(2003年3月16日)

2020年イラン:
「昨夜、イラク各地で歓喜の声が上がるのを見た。イラクだけでなくイランの国民も、米国による昨夜の行動が彼らに自由をもたらすものだと理解されることを期待している」
マイク・ポンペオ国務長官(2020年1月3日)

2. 先々の計画は必要ない

2003年イラク:
「5日だろうが5週間だろうが5ヶ月だろうが、間違いなくそれ以上続くことはないだろう」
ドナルド・ラムズフェルド国防長官(2002年11月14日)

2020年イラン:
「撤退戦略は必要ない」
ドナルド・トランプ大統領(2019年6月25日)
米軍のドローンがイランで撃墜されたことへの報復攻撃命令を、直前になって撤回した際のコメント

ABCニュース(@ABC)のツイート(2019年6月25日)
「撤退戦略など必要にならないだろう。撤退戦略は立てない」イランと戦闘状態になった場合の最終的な撤退戦略について問われた際の、トランプによる発言。

3. 根拠の薄い9.11との関連付け

2003年イラク:
「イラクでの作戦が順調に進んでいるとすれば、9.11をはじめ何年間も我々を攻撃し続けてきたテロリストの地理的拠点に大きな打撃を与えたことになるだろう」
チェイニー副大統領(2003年11月14日)

2020年イラン:
「(ソレイマーニーは)米国における9.11のテロ攻撃を実行した10〜12人のテロリストをアフガニスタンへ密かに渡航させる手助けをするなどの“残虐行為”をした人間だ」
マイク・ペンス副大統領(2020年1月3日)

Translated by Smokva Tokyo

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