故ニール・パートが辿った軌跡

ロックドラムの匠の基準を書き換えたラッシュのドラマー、ニール・パートが67歳で逝く。(Photo by Fin Costello/Redferns/Getty Images)

ラッシュのドラマー、ニール・パートが脳腫瘍で他界した。享年67歳。

パート家のスポークスマンのエリオット・ミンツによると、米国現地時間1月7日にカリフォルニア州サンタモニカで、ロック・ドラムの巨匠であり、ラッシュの作詞家だったニール・パートが67歳で亡くなった。死因は脳腫瘍で、パートは3年半前から密かに闘病していた。また、バンドの代理人はローリングストーン誌にパートの死を認めた。

パートはロック・ドラマーの中でも突出した実力の持ち主の一人だ。大胆で派手な演奏の中に完璧な正確さを持ったスタイルで、ドラムの可能性を技術・音色両面で押し広げた自身のドラム・ヒーロー、キース・ムーンに敬意を表したものだった。シンガー・ベーシストのゲディ・リーとギタリストのアレックス・ライフソンのラッシュにパートが参加したのは1974年。彼のミュージシャンシップと、当初はアイン・ランドやSF小説からインスピレーションを得て書かれていたが、のちに個人的な視点と感情を色濃く反映したクリエイティヴで洗練された歌詞は、ラッシュをクラシック・ロック時代のエッセンスが詰まった重要なバンドの一つに成長させた。楽曲「トム・サーヤー」などでのドラム・フィルは独特のポップ・フック満載で、フィル一つ一つが聞いた瞬間に脳裏に刻み込まれる小曲の様相を呈していた。そこではドラマ性を持ちつつ慎重に組み立てられた尺長のドラム・ソロが見事に展開しており、これはラッシュのコンサートのハイライトと化していた。

金曜日の夜に発表された声明で、リーとライフソンはパートを「45年以上、友人であり、魂で結ばれた兄弟であり、バンドメイト」と呼び、脳腫瘍の中でも最も悪性のグリア芽腫との闘いで「彼は驚くほど勇敢だった」と述べた。そして、「友人、ファン、メディアのみなさんに私たちからお願いしたい。非常に辛いこの時期を過ごす彼の家族のプライバシーを邪魔しないでいただきたい。彼の死を追悼したい方々には、がん研究機関やがん関連の慈善団体を選んで、ニール・パートの名前で寄付をお願いする。兄弟、安らかに眠ってくれ」と記している。

Translated by Miki Nakayama

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