ハネるリズムとは? カーペンターズの名曲を鳥居真道が徹底解剖

鳥居真道所持のカーペンターズ『Close To You』のアナログ盤



カーペンターズの「(They Long To Be)Close To You」がヒットしたのは1970年のことでしたが、実はその前にも別の歌手によって何度か録音されています。初出は1963年のリチャード・チェンバレンのシングル「Blue Guitar」のB面でした。リチャード・チェンバレンは「ドクター・キルデア」という医療ドラマの主演で知られる俳優です。チェンバレン版の編曲はバカラック本人によるもので、聴いてみるとお分かりいただけると思いますが、こちらのアレンジではリズムがハネていません。「タタタタ…」という8分刻みのリズムです。カーペンターズ版と比べると感傷的で哀切なムードが漂っています。メロディの譜割もカレン・カーペンターと比べると音価が長く、相対的に見てやや間延びしたような印象を受けます。また、イントロもなく、ボーカルのアウフタクトで始まります。バカラックの自伝によれば、自分のアレンジもチェンバレンの歌唱もまったく気に入っていないようで、自分の仕事のうちで最もひどい出来とまで言っています。

リチャード・チェンバレンに続いて、バカラック&デヴィッドのミューズとも言えるディオンヌ・ワーウィックも「Close To You」を歌っています。こちらは1964年のアルバム『Make Way for Dionne Warwick』に収録されています。アレンジ面ではチェンバレン版とさほどの違いはありません。ミックスがやや控えめと言ったところでしょうか。

同年、「Wishin’ and Hopin’」、「I Just Don’t Know What to Do with Myself」、「The Look Of Love」などを取り上げ、イギリスにおけるバカラック&デヴィッド作品の名手としても名高いダスティ・スプリングフィールドも「Close To You」をレコーディングしています。しかし、こちらの音源は1967年のアルバム『Where Am I Going?』に収録されるまで塩漬けされていました。ダスティ版はラテン的なシンコペーションが感じられるややファンキーでテンポも早めのアレンジですが、ハネてはいません。

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