ハネるリズムとは? カーペンターズの名曲を鳥居真道が徹底解剖

鳥居真道所持のカーペンターズ『Close To You』のアナログ盤



ハル・デヴィッドによる「Close To You」の歌詞は、人気者に恋をした者がレトリックを駆使して意中の人を讃える内容です。とにかく彼ないし彼女は恋して浮足立っているわけです。「Close To You」はいわゆる「曲先」だったそうですが、バカラックのアレンジはメロディに含まれるセンチメンタリズムを引き出すもので、歌詞の内容を踏まえるともはや「好きすぎて辛い…」と言った感じがあります。一方、リチャードのアレンジはメロディの持つ哀切さを足取り軽やかなシャッフルで中和させつつも恋をしたときに鳩尾が締め付けられるような感触も残しているといえましょう。ちなみに、ポール・ゾロによってまとめられた「インスピレーション」というインタビュー集によれば、ハル・デヴィッドはカーペンターズの「Close To You」をA&Mもう1人のボス、ジェリー・モスに聴かされたときに「私が思い描いていたものが欠けているような気がした」と語っています。後々、全米1位のヒットを記録したことで驚かされたそうです。

チェンバレン版との比較でメロディの譜割及び音価が異なると既に述べました。カレンの音価およびタイミング・コントロールも素晴らしい。チェンバレン版は音価が長く重厚かつリズムがぼんやりとしていましたが、カレンの歌唱はシャッフルのグリッドがはっきりとしており、足取りも軽く、空中を旋回するような躍動感すらあります。話はやや脱線しますが、ヘッドホンを用いてボーカルを意識して聴くと今でいうASMRのような生々しさを感じられます。

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