伊藤万理華の初期衝動、「まりっか」から裸の自分へ

伊藤万理華(Photo by Shun Komiyama)

乃木坂46を卒業して2年が経った伊藤万理華。「まりっか」の愛称で親しまれた彼女はグループ在籍中からカルチャーアイコンとして活躍。卒業のきっかけとなった展覧会「伊藤万理華の脳内博覧会」(2017年)は、渋谷・福岡・京都の全国3カ所で3万人以上を動員し、卒業後もファッション・アート・カルチャーの領域で活動するのではないかと予感させた。

その後、ファッション誌『装苑』で連載を開始し、映画や舞台を中心に女優の仕事をこなしていく。そして満を持して1月24日 渋谷PARCO GALLERY Xにて、二度目となる展覧会「伊藤万理華EXHIBITION “HOMESICK”」を開催。今回は彼女のクリエイター、キュレーターとしての観点からクリエイター4人と3ブランドを起用しコラボレーション作品を製作・展示。彼女自身がディレクションに関わったZINEをはじめアパレルグッズなども販売される。

この個展にかける彼女の想いを中心に話を聞いた。

―「HOMESICK」という名前からして今回はコンセプチュアルな内容なんだろうなということが分かります。

乃木坂46を卒業して一人になってからの2年で自分が思ったこと、いま何を伝えたいかということ、それらを一つに絞るとしたら「HOMESICK」というタイトルになると思って。家族、友達、仕事で出会った人たちなど、ざっくり言うとコミュニケーション。自分の中で起きたことを初めて深く掘り下げました。前回の個展は乃木坂46での出来事や学んだことを活かして、二つの側面を出したので。

―二つの側面というのは「アイドルとしての伊藤万理華」と「プライベートの伊藤万理華」ってことですよね。

はい。伊藤万理華の普段の部分、“まりっか”っていうアイドルの部分。どっちもあって自分だったんだよっていうのを証明するための有終の美ではありました。今回はそういうのを全くなしにして、もっともっと人間的な部分で作られたものというか。私は言葉で何かを伝えるのが得意じゃないんですけど、今のタイミングだったら同世代の方とかに、私が思っていることや感じていることを個展という形で伝えられるかもしれないと思って。


Photo by Shun Komiyama

―ZINEも見せてもらいましたけど、これは力入ってますね。どんなものにしたかったんですか?

「HOMESICK」という名前からすると、思い出のアルバムみたいに昔の話や成長過程を載せた、ほっこりしたものになりがちじゃないですか。実際、最初はそういう形になってしまって、かなり修正しました。自分は思い出のアルバムを作るためにZINEをやるのでなくて、それよりも前に進んでいる今の自分を表現したかった。写真の強さをメインにしたZINEですね。個展で展示する物の制作過程を写真で収めて、デザイン画も入れて。ルックブックに近いです。あと漫画も後ろの方に載せてるんですけど、自分が伝えたいパーソナルな部分はここに凝縮してます。あまり感傷に浸ったものにしすぎちゃうと気持ち悪いものになりそうだなと思って、もっとビジュアル的にかっこよく、見てて飽きないものにしたくて、こういう形になりました。

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