エアロスミスのドラマー、復帰オーディション落ちバンドを提訴「屈辱であり、不愉快」

エアロスミスのドラマー、ジョーイ・クレイマーがメンバーを提訴(Photo by Robb Cohen/Invision/AP/Shutterstock)

エアロスミスのドラマー、ジョーイ・クレイマーはメンバーからバンド復帰を不当に拒まれたと主張し、バンドを提訴した。

エアロスミスのドラマー、ジョーイ・クレイマーがほかのバンドメンバーを相手取り訴訟を起こした。来る第62回グラミー賞授賞式でのパフォーマンスと、米ネバダ州ラスベガスでのレジデンシー公演への続投から不当にも除外された、というのがクレイマーの主張だ。

米ローリングストーン誌が入手した訴訟内容によると、クレイマーは2019年の春にいくつかの軽度の怪我が原因でエアロスミスが予定していたラスベガスのレジデンシー公演Deuces Are Wildからの離脱を直前に強いられた。同年の秋にはバンドに復帰する準備ができていた、とクレイマーは断言しているものの、クレイマーがエアロスミスのバンド契約に明記された条件に反したため復帰を拒まれた、と訴訟内容は主張している。米現地時間1月26日に行われる第62回グラミー賞授賞式でのパフォーマンスのみならず、ミュージケアーズ・パーソン・オブ・ザ・イヤー・アワード受賞とバンドの功績を祝して1月24日に行われるトリビュート・コンサートに先立つ形での提訴となる。

「これは金銭の問題ではありません」とクレイマーは声明を発表した。「私は、バンドとしての生涯にわたる音楽業界への貢献を仲間とともに認めてもらえる機会を奪われようとしています。ミュージケアーズ・パーソン・オブ・ザ・イヤー・アワードとグラミー賞特別功労賞生涯業績賞はいずれも2回目が存在しない、かけがえのない栄誉です」

クレイマーによると、2019年の秋にドラマーとして復帰する準備ができたことをメンバーに伝えたあと、メンバーはどうしてもと言ってクレイマーにオーディションを受けさせた。メンバーはクレイマーをバンドのリハーサルに参加させるどころか、クリックトラックに合わせてひとりでドラムを叩かせ、録音したのだ。

訴訟内容によると、クレイマーは「バンドにふさわしいレベルで演奏できる」ことを証明するようメンバーから言われた。だが、クレイマー以外のメンバーが怪我で離脱していたときも、エアロスミスの歴史において「バンドにふさわしいレベル」という基準が引き合いに出された例はない。さらにクレイマーの訴訟内容は、復帰を望むメンバーに「実演を通じて実力を証明させる、あるいは一時的な身体障害期間後にパフォーマンスできることを証明させる」ことを要求する条項はエアロスミスのバンド契約に設けられていない、と指摘している。

「ジョーイ・クレイマーは我々の兄弟であり、彼の幸せは我々にとって何よりも大切です。しかし、クレイマー本人が認めたように、この半年間、クレイマーは精神面と身体面の両方においてバンドとともに演奏できる状態ではありませんでした」とエアロスミスは代理人を通じてコメントを発表した。「我々はクレイマーとともに演奏できないことを寂しく思っていますし、何度も復帰を促しましたが、クレイマー本人はまだ準備ができていないと考えていたようです」

訴訟内容によると、「状況を打開するため」最終的に折れたのはクレイマーだった。そして代理ドラマーのジョン・ダグラスに2019年の残りのレジデンシー公演の座を譲った(クレイマーは、ダグラスに給料を払わなければならなかった。バンド契約によってエアロスミスの全メンバーは離脱中もライブ収入全額が保証されているが、代理メンバーの給料は離脱者が負担することになっている)。

Translated by Shoko Natori

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