レディオヘッドが公開したデジタルアーカイブサイト6つの見どころ

2. ウェブキャスト『Inside Out Night』
2002年12月、Radioheaed.comで配信された2時間超に及ぶこのウェブキャストのハイライトは、不気味なほどに上機嫌なヨークとメンバーたちがクリスマスソングの定番「ウィンター・ワンダーランド」を歌う場面だ。画質は極めてお粗末だったものの、これまでも同ウェブキャストの一部はYoutubeに上がっていたが、Radiohead Public Libraryでは137分に及ぶ全編が高画質(あくまで2002年時のウェブキャストとしてはだが)で公開されている。「ウィンター・ワンダーランド」の他にも、『Inside Out Night』ではバンドのメンバーたちによる90分間のDJセットや、リチャード・ニクソンやジョージ・W・ブッシュ、サダム・フセイン等のラバーマスクを被ったメンバーたち、そして奇妙な質問の数々にヨークが加工した声で答えるQ&Aなど、普段のレディオヘッドとは大きく異なる一面を目にすることができる。

3. トムとジョニーによるデュオ演奏
レディオヘッドは5人組としてロックの殿堂入りを果たしているが、その主要メンバーであるヨークとグリーンウッドの2人は、デュオとして度々演奏している。1994年の『MTV’s Most Wanted』における「ユー」のアコースティック版から、2016年にポール・トーマス・アンダーソンのカリフォルニアにある自宅で撮影された『ア・ムーン・シェイプド・プール』収録曲のメロウなバージョンなど、その多くはアルバムのプロモーション用に行われたものだ。Radiohead Public Libraryでは2人によるデュオ演奏の全映像が公開されているほか、2003年6月に『ヘイル・トゥ・ザ・シーフ』が発売される1週間前にパリのLe Reserviorで行われた、2人による全12曲のアコースティックライブの映像も視聴可能となっている。

4. 『キッドA』の断片映像
『OKコンピューター』の次回作をファンが心待ちにしていた頃、レディオヘッドはウェブサイトで発売を控えていた『キッドA』の断片(Blipsと名付けられていた)の数々を無限にループする15秒間の動画とともに公開し、2000年10月に同作が発売されるまでファンの期待を煽り続けた。Radiohead Public Libraryでは、全Blipsをまとめた13分の動画が公開されている。ローリングストーン誌が2000年代のベストアルバムに選出した『キッドA』からはミュージックビデオが一切作られなかったため、この動画は同作における唯一の正式な映像資料となっている。またShynolaが手がけたBlipsの各映像を組み合わせると、アルバムの最終曲『モーション・ピクチャー・サウンドトラック』のムービーとなる仕組みになっており、同ライブラリーではその映像も公開されている。

5. スタンリー・ドンウッド博物館
『キッドA』発表後に生まれたバンドの大ファンの中には、長期にわたるバンドのコラボレーターであるスタンリー・ドンウッドによる、レディオヘッドのアートワークの全てを把握しきれていない人もいるだろう。『イン・レインボウズ』のデラックスエディション、『ザ・キング・オブ・リムス』の発表に合わせて発行された新聞The Universal Sigh、『キッドA』の初回プレスCDのトレイ裏に隠されていたブックレット等、各アルバムの通常盤では目にすることができなかった彼の作品は少なくない。彼が手がけたバンドのアートワークのほぼ全てを無料で閲覧できるという点において、Radiohead Public Libraryにはスタンリー・ドンウッド博物館という側面もある。

Translated by Masaaki Yoshida

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