レディオヘッドが公開したデジタルアーカイブサイト6つの見どころ

6.『ONNOTOK』の白いカセット
『OKコンピューター』の発売20周年を記念した再発盤、『OKNOTOK』のデラックスエディションに付属した80分のボーナス音源を収録した白いカセットの価値は、トム・ヨークがMDに保存していた当時の秘蔵音源の全てがネット上に流出したことで、その価値が半減してしまっていた。しかし、通常盤よりも100ドル以上高いデラックスエディションを買わなかった、あるいはMDに収録されていた未編集の14時間に及ぶ音源をダウンロードできる環境がないファンにとって、『OKコンピューター』の名曲群のスケッチや、未だ正式にリリースされていない「Attention」や「Are You Someone?」のデモを収録したこの白いカセットの中身が正式に公開されたことは、同作が誕生した背景を知る上で大きな意味を持っている。

今後公開が期待されるもの
Radiohead Public Libraryは極めてマイナーなコンテンツ(『ア・ムーン・シェイプド・プール』のリスニングパーティーが開かれたレコード店で使用されたプレイリスト、「Mr Hands」による『イン・レインボウズ』の開梱ビデオ、90年代半ばにファンクラブWasteの会員に送られたニュースレター等)まで網羅しているが、未だに公開されていないものも中には存在する。期間限定で販売されていた『OKコンピューター』期のデモ等を収録したMD音源は、期間限定という名目を守るためか、同ライブラリーでは公開されていない。また広く出回っている「Manic Hedgehog」のデモ音源など、今回ストリーミングが解禁された1992年作『Drill EP』以前の作品も未公開のままとなっている。(RPLが公開された月曜日には『Drill EP』の他、アルバム未収録の2005年作「I Want None of This」、そしてリミックスEP『TKOL RMX 8』のストリーミングも解禁された)

また各メンバーのソロ作品、特にヨークのソロ作やアトムズ・フォー・ピースの作品も、同ライブラリーには含まれていない。しかし最近、レアなヨークの曲がいくつかストリーミングサイトで再解禁されたことを考えると、そう遠くないうちにこの状況が変わる可能性がある。(ドンウッドが手がけたヨークのソロ作のアートワークの数々も、現時点では掲載されていない)

質・量共にNeil Young Archivesに匹敵するRadiohead Public Libraryは、今後過去の作品が振り返られる機会が訪れるたびに(余談だが、2020年は『キッドA』の発売20周年に当たる)、コンテンツを拡張させていくに違いない。ファンとしては、そこにやがてニューアルバムが加わることを願うばかりだ。

Translated by Masaaki Yoshida

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