クイーン+アダム・ランバート来日公演 あらゆる世代のファンを魅了した「伝説の続き」

ゴージャスな衣装を次々に着こなし、艶やかなパフォーマンスを繰り広げるアダム(来日中の1月29日に38歳の誕生日を迎える)は、完璧だった。唯一無二のフレディに敬意を表し、ゆえにモノ真似はせず、と言って自己流ばかりを貫き通すこともしない。以前に比べて歌詞の乗せ方や、メロディ・ラインのアレンジなどにアダム流が増えてはいるが、それとてクイーンの名曲を壊すようなものでは決してない。フレディとは違う、というだけだ。「ショウ・マスト・ゴー・オン」もアダムの解釈で歌われるとフレディが込めたものとはまた違う思いが覗く。そんな非常にクレバーな彼の立ち位置は、本文の冒頭に書いた通り、客席にいるファンの側なのである。アダム本人がそれを望み、実行している、その事実は、特に往年のクイーン・ファン、フレディ・ファンにとっては大きく、聖域を侵された感がない。

と同時に彼は、ブライアンとロジャーに認められたシンガーでもあり、ステージの構成や演出に関しては意見を挟む余地を与えられているという。アダムにとっては、コラボレーションのおもしろさがここにはある、というわけだ。ロジャーは、「今の状態はサプライズだ。バンドが継続するなんて不可能だと思っていた。でもそれを可能にしたのがアダムだ」と話し、ブライアンはアダムのことを“天からの贈り物”だと言う。もはや、ここにいなくてはならない存在となったアダムが、御大ふたりのモチベーションにも貢献していることは明らかだ。






Photo by Teppei Kishida

名曲があり、ツボを心得た演奏があり、華やかなライティングやヴィジュアル体験もあり、ブライアン・メイ、ロジャー・テイラー、アダム・ランバートの3人が、これまで以上にその個性や持ち味が発揮した今回のショウは、映画『ボヘミアン・ラプソディ』を経て、新旧オール世代のファンが、それぞれの中にあるクイーンへの思いを炸裂させるのには最高の機会だったはず。けれど、これは終わりではない。ならば彼らがこの先どこへ向かうのか、私たちは見届けなければならない。そんな決意も新たにさせるショウだった。

客電がつく頃、場内に流れたのはデヴィッド・ボウイの「ヒーローズ」だった。これがまたなんとも沁みた。最初から最後まで音が小さく、オープニングなどでダイナミックな興奮が得られなかったこと、たくさん演奏してくれようとするせいか、フルコーラスで聴きたい曲もメドレー・アレンジになりがちなことだけは、残念だったが。


Photo by Teppei Kishida



クイーン+アダム・ランバート日本公演
1月26日(日)さいたまスーパーアリーナ セットリスト

1. ナウ・アイム・ヒア  Now I’m Here
2. 輝ける7つの海 Seven Seas of Rhye
3. 炎のロックン・ロール Keep Yourself Alive
4. ハマー・トゥ・フォール Hammer to Fall
5. キラー・クイーン Killer Queen
6. ドント・ストップ・ミー・ナウ Don’t Stop Me Now
7. 愛にすべてを Somebody to Love
8. 神々の業(わざ)(リヴィジテッド) In the Lap of the Gods… Revisited
9.アイム・イン・ラヴ・ウィズ・マイ・カー I’m in Love With My Car
10.バイシクル・レース Bicycle Race
11. 地獄へ道づれ Another One Bites the Dust
12. アイ・ウォント・イット・オール I Want It All
13. 手をとりあって Teo Torriatte (Let Us Clinghether)
14. ラヴ・オブ・マイ・ライフ Love of My Life
15. ’39
16.ドゥーイング・オール・ライト Doing All Right
17. 愛という名の欲望 Crazy Little Thing Called Love
18. アンダー・プレッシャー Under Pressure
19. ドラゴン・アタック Dragon Attack
20. ブレイク・フリー(自由への旅立ち)I Want to Break Free
21. リヴ・フォーエヴァー Who Wants to Live Forever
22. ギター・ソロ Guitar Solo
23. タイ・ユア・マザー・ダウン Tie Your Mother Down
24. ショウ・マスト・ゴー・オン The Show Must Go On
25. ボーン・トゥ・ラヴ・ユー I was Born To Love You
26. RADIO GA GA
27. ボヘミアン・ラプソディ Bohemian Rhapsody
アンコール: Ay‐Oh *Freddie on screen
28. ウィ・ウィル・ロック・ユー We Will Rock You
29. 伝説のチャンピオン We Are the Champions


QUEEN + ADAM LAMBERT THE RHAPSODY TOUR
2020年1月25日(土)東京 さいたまスーパーアリーナ SOLD OUT
2020年1月26日(日)東京 さいたまスーパーアリーナ SOLD OUT
2020年1月28日(火)大阪 京セラドーム大阪 SOLD OUT
2020年1月30日(木)名古屋 ナゴヤドーム SOLD OUT
https://www.creativeman.co.jp/artist/2020/01queen/

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