清春が考えるロックンロールの美学、時代に抗いながら毒を吐き続ける理由

冒頭で、ライブでの喫煙について書いたが、清春のライブは濃厚で、しかも短時間では行わない。清春は現在51歳。決して楽なことではないはずだ。

「確かに、僕のライブって3時間とか長めですよね。今のライブってイベントだとゲストを迎えて1時間とかさ、そういう感じになってるじゃない。それでタバコ吸わないほうがいいって言ってる若い人を見ると、ロックというか、そもそも人間として弱いなって思っちゃうんですよね」と、歯に衣着せぬ発言は止まらない。

それだけではない。今の音楽表現、音楽産業そのものに対しても意見をズバズバという。


Photo by Mitsuru Nishimura

「ああ、フェス時代でしょ。そのフェスってヤンキー文化の極みだと思うんだよ。みんな涙流しちゃうじゃないですか。僕はあれも嫌。まず、男が簡単に泣くなよって言いたい。そういう世界じゃない非日常の世界がロックだと思ってる。ロックって弱者の味方ではあるけど、今って常に感動を求めるじゃない? 感動を求めるとか、熱いとか、凄い光景を見せましたとか、嫌いじゃないんですけど、本当は作ろうと思ってもできるものじゃないんだよ。でもそれをする方程式みたいなのがあって、ウォール・オブ・デスとか、サークルピットも日本人がやってるのって、海外のやってるものとすでに違うんだと思う。先日U2が来てましたよね。U2と比べたら人種も文化も違うけど、僕なんかちっちゃな存在なので、せめて好きにやんないと無駄だなって思うんですよね」とまたタバコを燻らした。

今の日本のフェス文化に対して疑問に持っていても、それを公言するミュージシャンはほとんどいない。理由は簡単。誰でもフェスのステージに立ちたい。CDが売れない時代において、ライブ活動は以前より重要度を増している。フェスに出れば、新しい客を手にすることが出来るからだ。だが、清春はそんなことはどうでもいいようだ。フェスだけではない、集団化して、そのムラの中で胡坐をかいているぬるい表現者が許せない。「僕らのようなヴィジュアル系の後輩、チケット高過ぎると思う、クソみたいなライブのくせに。それだったらフェス系のバンドのほうが絶対ライブいいよね」

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