ルイ・トムリンソンが語る、ワン・ダイレクション後の人生と再出発

ー2019年、必死にヒットチャートのトップ40にランクインしようとするのをやめて「僕にとっての成功とは何か」を考え直す必要があると、Twitterで重要な声明を発表しました。何がそうさせたのでしょう?

僕にはワン・ダイレクションという規模のグループでの経験しかない。だから当然、どれだけ必死に謙虚で現実的でいようとしても、その経験に縛られてしまう。でもそれは、現実の人生とはかけ離れたもので成り立っていた。こうした事実を受け入れるのに少し時間がかかってしまったんだ。

ー2019年の「トゥー・オブ・アス」であなたは大きな変貌を遂げましたね。これは、感情的にもとても勇敢な作品です。

ご存知の通り、「トゥー・オブ・アス」は僕のいままでの人生でもっとも誇らしい瞬間のひとつであることは間違いないよ。作曲家として、僕目線のこれほどの重みと大切さを持つ楽曲を手がけたのは初めてだった。それなのに、友達同士でおしゃべりしてると、誰かが僕にこっそり「トゥー・オブ・アス」にどれだか支えられたかを明かしてくれる。その人も最近誰かを失って、そのストーリーを僕と分かち合ってくれたのかもしれないね。僕はいままで音楽でそういう経験をしたことがなかった。ラブソングより深い感情を音楽で経験したことがなかったんだ。こうした感情には別の重みがあるよね。だから、僕の人生でもっとも誇らしい瞬間だった。

不思議だよね。だって当時僕はご存知の通り、クリエイティブ面で自分が不要な存在だと感じていた。僕は本当にもがいていたんだ。振り返ってみると、それは「トゥー・オブ・アス」を生み出さないといけなかったからなんだよね。「トゥー・オブ・アス」を完成させるまで、それ以外のコンセプトは僕にとって意味のないものだった。

ー最近では、男性の作曲家がこのように胸の内を明かすのは稀なことです。

母は僕の人生にとてつもなく大きな影響を与えてくれた。だから、「トゥー・オブ・アス」には女性の視点も含まれている。それに、僕は感情を表現するのが苦じゃない。作曲のプロセスでそれが僕の強みだということに気づいたんだ。感情と誠実さに頼れることが。ときには話せないようなことも話せるんだ。

ーその数カ月後にどうやって「キル・マイ・マインド」のようなロックチューンを作曲できたのですか?

「キル・マイ・マインド」は本当にあえてのステートメントとして作った曲なんだ。人に同情されたくなかったから、エモーショナルな重い楽曲を作り続けるつもりはなかった。だから、完全に気分を入れ替えて僕のインスピレーションに従うのは最高のチャンスだと思った。

ー「ノー・コントロール」のようなパンクロックの雰囲気がありますね。数年前にTwitterに投稿した「それがワン・ダイレクションの曲ですごくいい曲だったら、僕が作曲者だってことを覚えておいてね」というコメントが大好きです。

見てたの? あんまり自画自賛するタイプじゃないんだけど、そのときは「ファック! 真実なんだから仕方ないだろ!」って思ってた。あれは結構楽しかったな。

ー20代後半での活動は、20代前半と比べてどう違いますか?

作曲ごとに上達しているのを感じるよ。でも言っておくけどね、本当に年のことはマジで気にしてるんだ。先日28歳になったんだけど、「ファック。これを10年やり続けてきたんだ」って思ったよ。またゼロから始めたら、38歳になっちゃうよ!

Translated by Shoko Natori

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