突然のリストラにDJとリスナーが団結、米デモインの地方ラジオ局で起こった逆転劇

従業員を大量解雇した米iHeartMedia社(Courtesy of iheartmedia)

米デモインのラジオ局「KXNO」に勤務する従業員6人が突如解雇。だがリスナーの猛反発に遭い、2日後に再雇用された。

1月14日、アンディ・フェイルズ氏の同僚のほとんどが解雇された。

フェイルズ氏は、アイオワ州デモインのラジオ局KXNOの平日午後のスポーツトーク番組『Murph and Andy』の司会の1人。この日、親会社であるiHeartMedia社の従業員と同じようにフェイルズ氏が職場に着くと、会社が「運営体制の改革」という名の下で大量の人員削減を行なったことを知らされた。

「こういうことがあると、みんな『まあ、これが企業国家アメリカってやつだ。仕方ないよ』と言う。それが一番頭に来ます」とフェイルズ氏。「そんなのおかしい。考えなくてもわかるでしょう。間違ってる」

フェイルズ氏と相棒のキース・マーフィ氏は意を決した。2人の番組はリストラの対象にはならなかったものの、2人は上司に――TwitterやFacebookの数千人のフォロワーにも――今日は番組を放送しない、と宣言したのだ。解雇された同僚への団結を示すのが主な目的で、それほど効果は期待していなかったが、何もしないよりはマシだろうと思った。驚いたことに、リスナーとスポンサーはフェイルズ氏とマーフィー氏の下に結集した。そして2日後、ハリウッド映画のような大どんでん返しで、iHeartMedia社は解雇された6人を再雇用した。

KXNOの事件は、ラジオ業界の惨劇の1週間にしては珍しくハッピーエンドを迎えた。iHeartMedia社の人員削減の推定規模は、グループ内で数百人から1000人強(人員削減の総数について、同社はコメントを控えている)。iHeartMedia社は従業員に宛てたメールで、こう説明した。「一部スタッフの異動を実施いたします――転勤の場合もあれば、転属の場合もあります――残念ではありますが、我が社を近代化する上で払わなければならない代償です」。 その後発表された声明では「(人員削減の)数は、弊社の従業員総数が1万2500人であることを踏まえると、比較的少人数です」と述べている。

ラジオ局の編成担当者曰く、KXNOの事件はiHeartMediaのリストラがナンセンスであることを物語っているという。リストラの対象となったデモインの番組は地元で高い聴取率を誇っており、リストラされた従業員の少なくとも1人は最低賃金で勤務していた。つまり、その従業員の給料を帳簿から差し引いたとしても、iHeartMedia社の収支の丸め誤差分にも満たないのだ(職を失った従業員のうち、少なくとも2人は自分が務めるラジオ局は主要リスナー層で高い人気を誇っていたと語った)。

Translated by Akiko Kato

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