突然のリストラにDJとリスナーが団結、米デモインの地方ラジオ局で起こった逆転劇

地元密着型コンテンツの強み

全国的に統一された番組編成も、KXNOが提供するような地元密着型のコンテンツの代わりを果たすには無理があるだろう。「アイオワにはどのスポーツのナショナルチームもありませんが、熱烈なスポーツファンが大勢います」とフェイルズ氏。「人々が望んでいるのは、アイオワ大学やアイオワ州立大学のことを語る地元のラジオ局なんです。どこぞの街の、どこぞのオフィスで働く連中から自分たちの番組が取り上げられそうだ、となったので、みんな頭に来たわけです。よそではこんな番組は作れません」

フェイルズ氏とマーフィー氏の抗議は、企業の勝手な判断に反旗を翻して勝利を収めるための教科書的な存在でもある。仲間が解雇されたことを知ったフェイルズは、妻とカンクンで遅めの夏休みを過ごしていたマーフィー氏にすぐさま携帯メールを送った。「とにかく、今日は番組を中止することに決めました」とフェイルズ氏。「自分たちが裏切り者のような気がしたんです」

iHeartMedia社のメールには、大量リストラの理由が尤もらしく説明されていたが、それが余計に『Murph and Andy』の2人を苛立たせた。「回りくどい表現のオンパレードでしたよ」とフェイルズ氏。「上手くいっているものを、絶対に上手くいかないものと取り換えて、それを進歩と呼ぶんですから」

ほどなくして、KXNOのスポンサーは自分たちが贔屓にするラジオDJの身に降りかかった出来事を知り、彼らの支持に回った。フェイルズ氏とマーフィー氏の手元には、KXNOでの広告打ち切りも辞さないという十数社の企業のリストがあった。その中には、近隣のBMW販売店やConfluence Brewing Company社などもいた。「小さなラジオ局にとって、これは大事件です」とフェイルズ氏。「みんな完全に怒りに燃えていました。これだけのスポンサーが全部降りると言ったんです。(局の営業には)大打撃ですよ」

同時に、ソーシャルメディアではKXNOのラジオDJの運命について激論が交わされた。フェイルズ氏とマーフィー氏の複数のTwitterアカウントを合わせるとフォロワーの数は11万人を超える。「デモインにしては相当の人数(のフォロワー)です。僕らも積極的にSNSを利用しています」とフェイルズ氏。「しかも、それぞれのリスナーにもかなりの数のフォロワーがいます。然るべきところを突いてやれば、必ず人が集まるんです」

KXNOのリストラ問題はまさにその然るべきところを突いた。ネット上で噂が広まると、大勢のリスナーが離れる意思を表明した。ウィリアム・ギリー・ホーリングというユーザーはFacebookのマーフィー氏の投稿に対し、「あなたとスタッフが戻ってくるまで、KXNOは聞きません」と宣言した。「iHeartRadioのアプリを削除したよ、もう必要なくなったからね」と、クリス・エリクソンというユーザーも続いた。アダム・カルウィスキーもこうした意見に同調した。「ラジオのプリセットからKXNO局を外しました」

Translated by Akiko Kato

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