鮎川誠が語ったシナロケの矜持「ロックの世界はタイムレス、エイジレス」

シーナ&ロケッツ(Courtesy of JVCケンウッド・ビクターエンタテインメント)

バンド初となるライフタイムカバーアルバム『LIVE FOR TODAY!』(全18曲入り)を、シーナの5回目の命日=2月14日にリリースするシーナ&ロケッツ。本作の聴きどころの一つであるシーナのラストレコーディング音源を中心に、このアルバムへの想いを鮎川誠に訊いた。

―本アルバムの最初の7曲は、前作『ROKKET RIDE』(2014年)のレコーディングの合間にビクターのスタジオでレコーディングした音源だそうですね。

そうです。テープを回しとったんよ、一日。俺たちもいろんなレコーディングしてきたけどね、ニューヨークに初めて行った時、『Happy House』(1988年)のレコーディングやったけれども、予定よりも早く曲を録り終わって、エンジニアに「時間があるけん、遊んだら?」って言われて調子に乗って録ったんよ。その時が初めてやったのかな。それまでは結構レコーディングってきちきちやりよったし、1週間の枠の中で、歌入れだ、オーバーダブやらもしよったの。でもNY以降はスタジオでそういう遊びの時間も大事っちゅうか、楽しんでね。のびのびなる、一応ミッション=レコーディングが終わった後やけんさ。それで今回のアルバムの最初の7曲の音源になったのは、『ROKKET RIDE』という2014年にレコーディングをしたアルバムの時やね。その時はちょうどローリングストーンズが、来た時でね。シーナ&ロケッツのメンバーみんなで東京ドームに観に行って。それで強力なエネルギーをみんなで浴びて。で、『ROKKET RIDE』も3日間、ビクタースタジオでせーのでライブレコーディングじゃ!っちゅう感じで。もう予定は立てとったけれども、殊の外捗って2日間で録りたい曲全部録ったんよ。それで、『もう一日あるね』って。『何もしないのはもったいないね』って。何しろビクターの青山スタジオっちゅうところは、天井もビル3階分ぐらいぶち抜いたような巨大スタジオで、あそこでせーのでやると、気持ちがいいんよ。それでちょっとでも音を残したいっちゅうのもあって、最後の一日はなんかやろうってなって。

―なるほど。

で、当時、2014年頃、シーナ&ロケッツ以外でも、いろんなカバーものっちゅうのも少しはやっとったから、ロケッツでそれをもう一回それを録ってみたいねって。それで「Loudmouth」(ラモーンズ/1976年)、「Baby I’m Yours」(バーバラ・ルイス/1965年)……。「Baby I’m Yours」はやりたいけどまだ音になってないような感じで、まぁスケッチ感覚でレコーディグ始めたんよね。それで、時間もないし、ああここのリズムがどうだとか言うたりするともう時間食うけん、プレイバックはもうなしで、とりあえずライブみたいに「Loudmouth」を録った。じゃあ「Baby I’m Yours」行ってみよう、バン!で、次の曲っちゅう感じで。で、『I Put A Spell On You』(スクリーミングJホーキンス/1956年)やろうって。それでもうプレイバックなしの、もうゴーゴーゴーでやった。

―ええ。

で、7曲目に「レモンティー」を録って。「レモンティー」は、シーナが「今日の『レモンティー』を録ろう!」みたいな感じやった。俺たちは本当にそういうノリやったんよね、あの日は。毎日その日しかできん音があるから。特に「レモンティー」はそういう曲。ライブでは毎日やってきた曲だから。毎日やるけど毎日違う生き物みたいな。それがロックの楽しいとこたいね。決まったことをやるんじゃなくて、大筋はあるんだけど、毎回違う。あの日、最後あと一曲なんかやろうってなった時に、今日の「レモンティー」を残そうっちゅう感じで録って、その日は、おぉ7曲録れたか、って感じやったんよ。でもそれは発表するような形がなくて。その時はもう『ROKKET RIDE』というアルバムは、アルバム1曲目から「ロックンロールの夜」の阿久悠さんの曲までの、曲順ももう想定してレコーディングに入ったから。それ以上はもう使いようはないし、とりあえず音が録れて自分たちでその日のライブミックスを持って帰って。で、でもすぐに取り掛かるのは『ROKKET RIDE』の仕上げの作業やったり、ジャケットはどうするかとか、鋤田(正義)さんに写真をまたお願いするかとか、色々。もう制作の方に行ったから。なので、その7曲はほったらかしとったというか、お蔵入りになっとったというか。そういう感じやったんですよ。

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