ホアキン・フェニックス、主演男優賞受賞スピーチで「不公正との闘い」を訴える

映画『ジョーカー』で第92回アカデミー賞主演男優賞を受賞したホアキン・フェニックス

第92回アカデミー賞主演男優賞を受賞したホアキン・フェニックス。受賞スピーチでは、「人類と自然界とのつながりはますます薄れている。多くの人が自己中心的な世界観を持っているせいだ」と、不公正との闘いを訴えた。

映画『ジョーカー』でアカデミー賞主演男優賞を受賞したホアキン・フェニックスは、2020年2月9日に行われた授賞式でうやうやしくオスカー像を受け取ると、人類と自然との共存を訴えかけた。

「私はこれまでロクでもない人間でした」とフェニックスは震える声で語った。「私は自分勝手な人間で、時には一緒に仕事しにくい酷い人間でした。そんな私にやり直すチャンスを与えてくれた、ここにいる多くの皆さんに感謝します。私たちが最高の状態にあること。私たちがお互いに支え合うこと。過去の過ちでお互いを打ち消しあうことなく、将来へ向けて助け合うこと。私たちがお互いに学び合うこと。私たちが罪の償いのために導き合うこと。それが最高の人間愛だと思います。」

さらにフェニックスは、我々の住む地球へもっと目を向けるよう、授賞式のテレビ中継を見ている視聴者に向かって呼びかけた。以前から同様の主張を続けてきたフェニックスだが、最近では、エクスティンクション・リベリオンやアマゾン・ウォッチなどの環境活動組織が共同製作した短編映画『Guardians of Life』にも出演している。

「私たち全員が直面している痛ましい問題について考えさせられることがあります。時には問題の原因はさまざまだと感じたり、そう思い込まされたりします。けれども私には、全てに共通点が見えるのです」と彼は言う。「ジェンダー、平等性、人種差別、同性愛者の権利、先住権、動物の権利など、私たちはあらゆる不公正と闘っています。特定の国、特定の民族、特定の人種、特定のジェンダー、特定の種だけが何のとがめも受けずに他を支配下に置き、やりたい放題できるなどという考え方との闘いです。」

「人類と自然界とのつながりはますます薄れています。多くの人が自己中心的な世界観を持っているせいです」と彼は続けた。「万物の中心にいるのは人間だ、などという考え方に原因があるのです。私たちは自然界に足を踏み入れ、豊かな資源を奪うために破壊しています。私たちは自己改革から目を背けているのです」。

フェニックスの考え方は、今年開催された他の有名な映画賞にも反映されている。NBCによると、ゴールデングローブ賞、SAGアワード、放送映画批評家協会賞の授賞式には、完全菜食主義者向けの料理が用意されたという。

フェニックスは、主演男優賞を受賞した英国アカデミー賞の授賞式でも、熱のこもったスピーチを披露した。「英国アカデミーはこれまで私のキャリアを強力に支えてくれました。とても感謝しています」とロイヤル・アルバート・ホールのステージ上でフェニックスは語った。「同時に、私と同じような待遇を受けるべき俳優たちもたくさんいることに葛藤も感じています。アカデミーは有色人種を受け入れない、という明確なメッセージに加担してしまっているように思えてならないのです」。

第92回アカデミー賞で映画『ジョーカー』は、主演男優賞(フェニックス)と作曲賞(ヒドゥル・グドナドッティル)の2部門を受賞した。作曲賞を女性が単独で受賞したのは、彼女が初めてだった。



Translated by Smokva Tokyo

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