ホアキンがスピーチで引用した、兄リヴァー・フェニックスの楽曲は?

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米現地時間2月9日、『ジョーカー』で主演男優賞を受賞したホアキン・フェニックスは、兄リヴァーが10代だった頃に書いた「愛をもって救済に向かえ。平和はあとからついてくる」という歌詞を引用した。だが、この楽曲はいまやどこへ行ってしまったのだろう? タイトルはあるのだろうか?

米ローリングストーン誌は、リヴァーの元バンド、アレカズ・アティックのメンバーだったジョシュ・グリーンバウムに連絡を取った。「あれはかなり昔のことだった——僕たちが知り合う前からリヴァーが作っていた曲なんだ。その曲を一緒に演奏する機会はなかったな。僕といる時、リヴァーはスタイル的に違う、まったく別の素材——音楽的により高度で実験的なもの——にフォーカスしたがったから」とグリーンバウムは振り返った。

それでも、グリーンバウムはその楽曲のタイトルが「Halo」だったと記憶しているようだ。ライターのタッド・フレンドの2001年の著書『Lost in Mongolia: Travels in Hollywood and Other Foreign Lands(原題)』がグリーンバウムの記憶の正しさを裏付けている。同書によると、映画『マイ・プライベート・アイダホ』(1991年)の撮影中、リヴァー・フェニックスがレッチリのフリーや出演者たちと一緒にセッションしながら「自身のバンド、アレカズ・アティックのために作った優しいメロディーと調子の狂った歌詞の曲を演奏した——愛をもって救済に向かえ/平和はあとからついてくる/ヘイ、ロウ、お前の後光(halo)はどこにいっちまったんだ?」と歌っていたのだ。

ガス・ヴァン・サント監督が手がけた『マイ・プライベート・アイダホ』は、シェイクスピアの戯曲『ヘンリー4世』にインスパイアされた作品だ。主演俳優を務めたリヴァーとキアヌ・リーブスは、友情を育み、やがて人生を変えるロードトリップに出る男娼を演じた。

リヴァーの楽曲「Halo」がいまどこにあるか、グリーンバウムは知らない。「手つかずのままのカセットテープの山が倉庫にあるんだ。でも、それだけ古い曲がそのテープのなかに含まれている可能性は極めて低いと思う」とグリーンバウムは言う。「まだバンドを始めたばかりの頃にもらった素材に含まれているのかもしれないけど。それに、まだ残っていたとしても、再生できるかどうかはわからない。だって30年も保管されたままだったから。その間も何度か引っ越したし、暑さとか湿気とかもあるだろ……」

1993年に薬物の過剰摂取が原因で米カリフォルニア州ハリウッドのナイトクラブ、ザ・ヴァイパー・ルームの外で死亡したリヴァー・フェニックスは、ティーンエイジャーのアイドルであり、ミュージシャンであり、活動家だった。弟ホアキンのようにーー。1988年にリヴァーは『旅立ちの時』で助演男優賞にノミネートされ、『マイ・プライベート・アイダホ』ではナルコレプシー(発作的に深い眠りに襲われる病)を抱えるゲイの男娼を演じてインディペンデント・スピリット賞の主演男優賞を受賞している。

Translated by Shoko Natori

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