ここで改めて「Be My Baby」を聴いてみると非常にフレッシュに感じられないでしょうか。これまで見てきたように「Be My Baby」のパターンはフィル・スペクターのプロデュース作品に頻出のリズムではあるものの、それまでの曲と異なる新鮮味に溢れています。
「Be My Baby」ではシェーカーもしくはマラカスが常に8分音符を刻んでいます。ドラムも「ンタタタ」という8分音符のフィルを2小節ごとに入れています。ベースはハバネラではなく「タタタタタンタン」というパターンを演奏しています。つまり「Be My Baby」のグルーヴはハバネラもしくはバイヨン的なに拠るものではなく、8分のパルスに拠るものではないかと考えています。当時ブームであった「ツイスト」的なハネないイーブンの8分のパルスに中南米的なパターンをはめ込んだことが「Be My Baby」のリズムにおける肝であるように感じています。