登坂広臣の魅力は「陰」にあり ダンスミュージック隆盛を願う男が語ったビジョン

「自分に制限をかけなくてもいい。J-POPという括りに縛られても面白くない」

ー作曲スタイルで言うと、いろんな人が複数携わって曲を作るという意味で「コライト」に今回は近いですよね。

『FULL MOON』に比べて外部の方に頼むことが多かったんですけど、今回の曲は自分に無いものを欲していた感じがあるというか。もちろん「Who Are You?」みたいに自分のリリックじゃなきゃダメな曲は自分で書く。でも今回は任せるところは任せてみて、一緒に作っていった感じです。僕一人だとどうにでもできちゃうじゃないですか。でもこの曲は赤色だと思って外の人に投げたら、緑色で戻ってきてビックリしつつ、しかもそれがすごくいいこともある。周りにクリエイターがたくさんいるから、自分のビジョンを共有して彼らに任せることで、僕の視野も広がる。そんな感覚で今回のアルバムは作れましたね。結果的にコライトが多くなったのは、そういうことかもしれません。

ー登坂さんのソロワークスを突き動かすものって、クリエイティブなものを作りたい!という衝動の他に、いまの日本の音楽を取り巻く環境を変えていきたいという気持ちもあったりするんですか?

自分が何かすることで日本の音楽業界が大きく変わるかと言ったら、絶対そんなことないんですよ。でも絶対にないからこそ、やっちゃえばよくない?って。自分に制限をかけなくてもいい。J-POPという括りに縛られても面白くないと思いますし、それは僕がいるLDHに対してもすごく感じているところで。気づけば先輩より後輩が多くなって、グループも増えました。だからこそ我々がもっと日本の音楽を面白くするような価値観や仕掛けを発信していかなきゃいけない。別に今のクオリティが云々という話ではなく、外向きのマインドでやる・やらないという意識を持ち続けるだけで全然変わると思うんです。

最近の日本の音楽シーンだと、米津玄師さんやKing Gnuさんのようなミュージシャンの方が鳴らすサウンドが人気じゃないですか。でも僕らのベースにあるのはヒップホップ、R&B、ダンスミュージックで、そういう音楽のカルチャーを日本で盛り上げるためには、自分たちの存在をもっと強くしていかなきゃいけない。あと2〜3年したら何周かしてダンスミュージックが日本でまた流行る気がするし、そういう状況を作り出せるようにいろいろ動くことが必要。少なくとも自分は常にそのスタンスで音楽をやっているし、そういう点でLDHも今以上に攻めてもいいんじゃないかなとは感じていて。

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