米トランプ政権のコロナ対策、身内の共和党も不安視

ホワイトハウスのサウスローンを通ってマリーンワンへ乗り込む前に笑顔を見せるトランプ米大統領(2020年2月10日 ワシントンDC)(Photo by Alex Wong/Getty Images)

米国疾病管理予防センター(CDC)が米国内での感染拡大は避けられないと警告を発する一方で、トランプ大統領は株式市場を気にしている。この状況を、身内である共和党も政府の対応に不満を示す。

米国疾病管理予防センター(CDC)は2020年2月25日、コロナウイルスは米国内でも流行の兆しがあると警告した。「米国内では感染拡大の恐れがないとはもはや言えない状況ですが、問題はいつ起きるかです」と、国立予防接種・呼吸器疾患センターのナンシー・メッソニエ博士はニューヨークタイムズ紙のインタビューに答えている。

「米国民の皆さんには、状況は悪化する可能性があるという前提で準備して欲しいと思います」とメッソニエ博士は言う。

昨年2019年に中国で発生し、その後アジア、ヨーロッパ、中東へと拡大し続け、現時点で8万人以上が感染し3000人近くが死亡しているとされる現状を見れば、米当局による警告も不思議ではない。しかしコロナウイルスに関するトランプ米大統領の発言からは、そういった危機感は読み取れない。「(コロナウイルス)問題は収束に向かっていると思う」と大統領は、2月25日に滞在先のインドで行った記者会見で述べている。

「米国内でコロナウイルスは完全に管理下に置かれている」とトランプ大統領はツイッターでも発言している。「関係する人間や各国とも連絡を取り合っている。CDCとWHOはとてもよくやってくれている。株式市場も私からすれば好調のように見える!」

トランプ大統領が米国民に信じ込ませようとしているのとは裏腹に、コロナウイルス問題は深刻化している。トランプ政権はまるで事の重大さを把握していないようにすら思える。2月24日夜、ホワイトハウスはコロナウイルスへの対策費用として、250億ドル(約2億7500万円)の予算案を議会へ送った。民主党は金額が不十分であると批判すると同時に、政府は数週間前に事態の深刻さを把握していたはずだとして、対応の遅さも指摘した。

共和党もまた、政府の対応に不満を示している。

2月25日の朝に行われたコロナウイルス対策に関する公聴会の場で、ジョン・ケネディ上院議員(共和党・ルイジアナ州)は国土安全保障省のチャド・ウルフ長官代行に対し、米国内での感染可能性に関する根本的な質問にも答えられていないとして強く非難した。

アーロン・ルパー(@atrupar)のツイート
「長官(代行)であるならば回答できてしかるべきだ」と共和党のジョン・ケネディ上院議員ですら、コロナウイルスに無知な国土安全保障長官代行のチャド・ウルフに苛ついている。

上院歳出委員会のリチャード・シェルビー委員長(共和党・アラバマ州)も保健福祉省のアレックス・エイザー長官に対して、トランプ大統領はコロナウイルス対策に必要なリソースの重要性を「故意に軽視している」との懸念を表明した。

米ABCニュース(@ABC)のツイート
リチャード・シェルビー上院議員は保健福祉長官のアレックス・エイザー上院議員に対し、トランプ政権の提示したコロナウイルス対策予算は「あまりにも少なすぎて、賄えない恐れがある」と伝えた。
「このように問題を軽視していると、後でしっぺ返しを食うだろう。」

Translated by Smokva Tokyo

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