ジュリア・ジャックリンが語る日本への想いと歌のルーツ、アヴリル・ラヴィーンへの共感

ジュリア・ジャックリン『Crushing』のジャケット写真

オーストラリア出身のシンガーソングライター、ジュリア・ジャックリンが3月30日、ビルボードライブ東京で一夜限りの来日公演を行う。「日本でライブできる日をずっと待ち望んでいた」と語る彼女が、過去と現在を振り返る。

※3月19日追記:ビルボードライブにて予定されていた同公演は、新型コロナウイルス感染症感染拡大を防止する観点から、アーティスト側と協議の上、中止となることが発表された。

ステラ・ドネリーとも親交の深いジュリア・ジャックリンは、活況を見せるオーストラリア音楽シーンの「今」を象徴する才能と言えるだろう。2016年に1stアルバム『Don’t Let The Kids Win』でデビュー。フォーキーながらもオルタナティブ・ロックを感じさせるサウンドと心を打つ歌詞、エモーショナルな歌声が大きな話題となり、翌年にはオーストラリア国内の音楽賞を総なめに。2019年の最新アルバム『Crushing』では、コートニー・バーネットなどを手掛けるバーク・リードをプロデューサーに迎え、音楽媒体の年間ベストアルバムに軒並みランクイン。よりパーソナルな物語を紡ぎながら、圧倒的なソングライティングのセンスを見せつけた。そんな彼女についてもっと知るべくメールインタビューを実施。以下、質問作成は音楽ライターの八木皓平。


ーいろんな表現スタイルがあるなかで、シンガーソングライターを志すことにした理由は?

昔から文章を書くのが好きだったの。子供のころは今考えると酷い出来の短いストーリーをたくさん書き上げてた。そこから成長して歌をうたいはじめたときに、自分の好きなこと二つを一緒にやったらいいんじゃない?って思いついた。うたっているときに一番生きてるって感じるから、生活のために歌をうたえる私はとてもラッキーだと思う。



ードリス・デイ、レナード・コーエン、フィオナ・アップルを影響源に挙げているのを見かけました。彼らのどんな部分に惹かれますか?

子供のころはとにかくドリス・デイをたくさん聞いてたから、歌については彼女が出ている映画から学んだと言っても過言ではないかも。フィオナ・アップルとレナード・コーエンは素晴らしいリリシストだから、彼らの曲を聴くとたくさんの感情が呼び起こされる。

ー以前、アヴリル・ラヴィーンの「I’m with You」をカバーしていましたが、彼女はあなたにとってどんな存在で、ミュージシャンとしてどこに惹かれますか?

アヴリルはティーンエイジャーだった私にとって、とても大きな存在だった。彼女そのものになりたかったし、彼女みたいなルックスになりたかったし、彼女みたいな音楽をやりたいと思ってた。だから彼女の曲をステージに立って演奏するっていうのは、自分のことがなにもわかってなかったり、自分のことが好きになれなかった私の人生の混乱期に対するオマージュみたいなものね。


カバー曲のレパートリーが豊富なジュリア。これまでザ・ストロークス「Someday」、ビッグ・シーフ「Paul」、フリートウッド・マック「Dreams」、レナード・コーエン「Memories」など幅広く披露している。

ー『Don’t Let The Kids Win』『Crushing』の2枚のアルバムについて、それぞれ今振り返ってみてどんな印象を抱きますか?

最初のアルバムはもう長いこと聴き返してないな。聴くのが少し怖いの。それでもアルバムのことは誇りに思ってる。どうやって二作を言い表したらいいかはわからないけど、歌という形で表現した私の人生を映し出すスナップ写真みたいなものかな。

ー「Body」はサウンドの低音に厚みがでていて、それがヘヴィなリリックとマッチしています。『Crushing』の世界観を象徴する楽曲だと思いますが、このサウンドはどのように作られたのでしょうか。前作から最新作にかけて、サウンドへの意識も変化はありましたか?

1stアルバムを作ったときは、実はどんな音にしたいのか確信を持ててなかったから、二作品のサウンドはかなり違うと思う。かなりシャイだったしスタジオでの作業がどんなものかっていうのもよくわかってなかったから、毎日が勉強だった。けど2ndアルバムではもっと自信がついて自分がどんな音が好きなのかわかっていたから、プロダクションの後ろに隠れたくなかった。だから、あまりいろんな要素を詰め込みすぎてないの。もっと言葉自身が輝くような瞬間を与えたかったし、言葉がかき消されるような瞬間は作りたくなかったから。


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