米民主党の革新派議員が新たな政治活動委員会を設立、1カ月強で34万ドルを調達

2019年12月21日、ロサンゼルス近郊のベニスビーチで行われた民主党選出候補バーニー・サンダーズ氏の集会で演説するアレクサンドリア・オカシオ=コルテス下院議員(民主党、ニューヨーク州代表)(Photo by Robyn Beck/AFP/Getty Images)

先月、FOXニュースは誇らしげにTwitterに「特ダネ」を掲載した――アレクサンドリア・オカシオ=コルテス下院議員が、民主党下院議員選挙運動委員会(DCCC)の会費25万ドルの支払いを「凍結」しているというのだ。オカシオ=コルテス議員もこの事実を認めた。「DCCCは、今後私のような革新派の候補者を支援する組織を一切排斥すると明言したのです」とツイート。翌日、革新派候補者を支援する新たな政治活動委員会(PAC)を設立すると発表した。

オカシオ=コルテス議員は、自ら立ち上げた資金調達組織の支援を受ける最初の候補者7名を公表した。いずれも革新派で、全員女性。大半は有色人種で、そのうち2名はオカシオ=コルテス議員と同じ民主党下院議員を相手に選挙戦を繰り広げている。

クリスティーナ・ツィンツン・ラミレス氏はテキサス州上院議員選挙に立候補し、民主党上院選挙運動委員会が支持するM・J・ヘーガー候補と争っている――両者共、現職のジョン・コーニン共和党上院議員の座を狙っている。ニューメキシコ州ではテレサ・レジャー・フェルナンデス氏、ニューヨーク州ではサミリス・ロペス氏、カリフォルニア州ではジョルジェット・ゴメス氏、ネブラスカ州ではカラ・イーストマン氏が、欠員または現職共和党の下院議席をかけて立候補している。

オカシオ=コルテスの支援を受ける他2名はマリー・ニューマン氏とジェシカ・シスネロ氏。両者とも、民主党の新任議員――反中絶の立場をとるイリノイ州のダニエル・リピンスキ下院議員と、銃擁護派のテキサス州ヘンリー・クエラー下院議員を相手に争っている。

同PACは献金集めの呼びかけで真っ先に、DCCCを名指しで批判している。「様々なコミュニティーのリーダーや活動家、労働階級の候補者が出馬しようとすると、DCCCのような組織が行く手を阻むのです。未来の革新的リーダーはこう尋ねられます。『あなた方は友人や家族から30万ドルの政治資金を集められますか? それが無理ならおやめなさい』」

さらに、民主党議員の政治資金集めを担うDCCCは「アレクサンドリアや皆さんのような人々に権限を与えまいとする組織的な動き」に加担しているとも評した。

同PACは、予備選挙の各候補者に献金上限額の5000ドルを提供する。だがすでに10倍もの候補者を援助できるほどの献金が集まっている。オカシオ=コルテス議員の再選活動で顧問を務めるコービン・トレント氏によれば、設立からわずか1カ月強で34万267ドル以上もの献金を集めたという。

「彼女が取り組んでいるのは、革新派が下院・上院の議場に上がれるような環境整備です」とトレント氏。目的を達成するべく、同PACの支援は現金だけに留まらない――メールやソーシャルメディアでの献金集めや、ボランティアの募集にも協力している。

「我々の主な目的のひとつは、議会での勇気ある政治行動を正しく評価し、革新派が下院の過半数を占めるよう候補者を支援することです」と、オカシオ=コルテス議員はニューヨーク・タイムズ紙とのインタビューでこう述べた。「これには2つの側面があります。ひとつは、新人候補者に道を開くこと。もうひとつは、勇気ある政治行動を発揮している議員を称えることです」

「誰でも『私はこうした政策を支持します。だから私は革新派なんです』と言うことはできます」と議員。「ですが私たちにとって、まず大事なことは選挙に勝つことです」

Translated by Akiko Kato

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