爆笑ビデオから悲惨なニュース動画まで 2000年代後半のYouTubeでバズった動画13選

YouTube黎明期を飾った一発屋ほか

「チョコレート・レイン」(2007年)



多くのミュージシャンの卵が、名声を(あわよくばレコーディング契約も)求めてインターネットへやってくる。見事成功したアーティストも大勢いる。ジャスティン・ビーバー、ラナ・デル・レイ、ザ・ウィークエンドはYouTube経由で発掘されたし、ショーン・メンデスはVineでオーディエンス層を獲得した。だが、タイ・ゾンディのように一晩で成功を収めた者はほとんどいない。彼の唯一のヒット曲「チョコレート・レイン」は2007年にYouTubeに登場した。映像はいたってシンプル。ゾンディが自宅のアパートで、アメリカの組織的な人種差別についての自作の曲を歌い、歌の最中に息つぎのためマイクの前から離れることを告げる見出しがときたま現れる。もともと4chanから火がついたこの作品は、動画も楽曲も数か月のうちに爆発的ヒットを飛ばした。YouTube初期を飾った一発屋の1つ。彼が先陣を切り開いたおかげで、数年後にはさらに多くの一発屋があらゆる動画共有ツールに登場するようになった。


「スタンガンはよせ、ブラザー」(2007年)



YouTubeの拡散カルチャーには、単なる動画閲覧以上の側面もある。例として、ジョン・ケリー上院議員が出席したフロリダ大学のイベントで、学生がスタンガンを撃たれる映像を見てみよう。質疑応答のパートでアンドリュー・メイヤー氏は、ケリー上院議員がスカル・アンド・ボーンズという秘密結社のメンバーかと質問し、即座につまみ出されてスタンガンを撃たれた。「スタンガンはよせ、ブラザー!」という叫び声は、スタンガンを撃たれた理由や事の詳細を凌駕して、ほぼ一夜にしてミームと化した。その年、このセリフは時代の流行語となり、動画が提起する言論の自由や警察の暴力行為にスポットライトを当てた。


「大家さん」(2007年)



幼い子供が悪態を垂れる姿が最高に面白いのは、世界共通の事実。これぞまさに「大家さん」の核心的(ぶっちゃけ唯一の)コンセプトだ。ウィル・フェレルと、長年の共演者アダム・マッケイ、そしてマッケイの2歳の愛娘パールちゃん(現在はSnapchatのフィルターを使いこなすティーンエイジャー。子供の成長は早いものだ!)が登場する拡散動画は、パールちゃんが連発する罵詈雑言にフェレルが大真面目に反応することで、さらに面白みを増している。2人が運営するサイトFunny Or Dieの処女作で、同サイトはその後も「路傍のビリー」「酔っ払いの歴史」「2本のシダの間で」といったお笑い映像を送り出している。


「歯医者帰りのデイヴィッド」(2009年)



拡散動画のエコシステムにおいて、子供のおバカ映像ほど不変的なものはない。中でも、歯科手術をうけた7歳の彼が麻酔でぼんやりしているホームビデオ「歯医者帰りのデイヴィッド」ほど拡散したものは他にない。父親が撮影した動画の中で、愛くるしいほど支離滅裂なデイヴィッドは「なんでこんな気分なの?」と尋ね、後部座席から身を乗り出して叫んだあと、へなへなと倒れこむ。いわば『America’s Funniest Home Videos(原題)』や『Kids Say the Darndest Things(原題)』といった家族向け人気TV番組の進化版。YouTubeから始まって、Instagram、Twitter、Vine、TikTokなどの台頭で、この手の爆笑ショートホームビデオは24時間365日いつでも見られるようになった。


「Bed Intruder」リミックスbyアントワン・ドッドソン(2010年)



事件そのものはなんとも残忍だ。ケリー・ドッドソンという女性が自室で、不審な侵入者にレイプされかけた。幸い彼女は無事で、地元のニュース番組で注意を呼びかけることができた。兄のアントワンは当然のごとく怒り狂い、「子供をかくまえ、ワイフを外に出すな」と警告。実に鮮やかな彼のスピーチは、即座にYouTubeで拡散した。だが、それもほんの序の口。音楽お笑いコンビのグレゴリー・ブラザーズが、自分たちの『Autotune the News』シリーズでこれをネタにした。得意の音程修正とオートチューンを駆使し、彼らは痛ましい事件を立派なヒット曲に仕上げ、なんとビルボード・シングルチャートにもランクインした。ドッドソン自身もスターとなり、タイラー・ペリーの『A Madea Christmas』に出演したほか、『Unbreakable Kimmy Schmidt』のオープニングクレジットでもパロディされた。数年後、彼のサクセスストーリーはBhad Bhabieによって模倣された。『Dr. Phil』に出演した際の彼女の言葉「Cash Me Out」は、のちにビルボード・シングルチャート入りを果たすリミックスを生んだ。

Translated by Akiko Kato

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