新型コロナ株式市場に大打撃、音楽業界への影響は?

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世界的なコンサート会社のライブ・ネイションは、相次ぐキャンセルによって、2月24日から27日までの4取引日で時価総額35億ドル(約3730億円)を喪失。コロナウイルスは、株式市場に大打撃を与えたがワーナー・ミュージック・グループのIPOにとっては好都合かもしれないという。「音楽が衰えることはなく、楽曲は株式市場の動きに左右されないとても貴重な資産だ」と音楽専門投資家のマーク・マーキュリアディスは語る。

ゴードン・ゲッコー(訳注:映画『ウォール街』の主役名)でなくとも、ますます高まるコロナウイルス感染に対する懸念が世界中の産業に打撃を与えていることは、容易に理解できる。ジェームズ・ボンドの最新作『No Time To Die』は、コロナウイルスの影響で客足が伸びないと見て、当初4月に予定していた公開時期を半年以上も延期した。航空会社のフライビーは、利用客が激減したために破産を申請した。さらに、エド・シーラン、カーディ・B、ニール・ヤングらを擁するワーナー・ミュージック・グループ(WMG)は2020年3月初め、数十億ドル規模の公開会社の評価額が軒並みコロナウイルスの影響で低迷する中、米国証券市場への新規株式公開を延期した。

しかしWMGによるIPOの延期は、オーナー会社のアクセス・インダストリーズにとって当初の目論見よりも好ましい結果になるかもしれない。

2020年2月末は、世界の主要株式市場にとって悪夢だった。米S&P500や英FTSE100などの主要企業株価指数はそれぞれ11%下落し、2008年の金融危機以来となる最悪の結果を記録した。米国だけを見ると、わずか5日間で公開企業の評価額が合わせて約6兆ドル(約640兆円)下がった。大統領就任以来、国内の株式市場の堅調ぶりを売りにしてきたドナルド・トランプにとっては、最悪のニュースだ。一方で、アクセス・インダストリーズの創業者でWMGの実質的オーナーであるレオナルド・ブラバトニックにとっては、喜ばしい状況といえる。

市場から6兆ドルが失われるというショッキングな見出しの裏には、単純なロジックが存在した。当然のことながらコロナウイルスに対する恐怖のせいで、(自主的か強制的な隔離かにかかわらず)家から出ない人がますます増え、旅行者が劇的に減少するだろう。

人々の間で広まる行動制限は、例えば実店舗やライブイベント、旅行業など集客数や国をまたいだ移動や輸送に依存する業界に、当然ながら大きな打撃となるだろう。その証拠に例えばユナイテッド航空の株価は、市場全体の平均よりも早く21%下落(2月21日金曜日の取引終了時は78.01ドルだったが、28日金曜日の終値は61.59ドルだった)。また実店舗による小売業界の巨人であるコストコの場合は、同時期に12.7%下落(321.95ドルから281.14ドル)した。

Translated by Smokva Tokyo

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